« Vibesは婿養子 薬師寺の巻 | トップページ | Vibesは婿養子 ノスタルジック近鉄急行の巻 »

2004/07/26

the time is presentの解釈

この記事はゆうけいさんへのトラックバックです。先にゆうけいさんの記事をお読みください。

"The place is New York, the time is present, and neither one will ever change."
Ghosts / Paul Auster
 柴田元幸 「the time is present = 時は現代」という訳の妥当性について

僕は技術英語に接する機会は多いが、文学系の作品はあまり読んでいないし読んでも分からないところは分からないままで辞書などほとんど引かずに感覚で読んでいるので、以下はあくまで僕の感覚であることをお断りしておきます。

この文だけを見たところでは、the time is presentを「時制は現在形」というのはかなり無理があると思う。それに日本語としても少々ぎごちない。

舞台は1947年3月、本の初版は1986年というところにこだわると、1947年=過去、現在=1986年頃、となってthe time is presentに矛盾を感じるということだと思うが、僕の解釈としては筆者は読者を1947年に戻された状態、つまり仮想現実の世界に引きずりこむ意図でこの文を書いたのではないか。

例えば西部劇を見ているとき、観衆はそれを過去の出来事としてみているというより、あたかもそこに自分がいるような感覚で見ると思う。それと同じでPaul Austerは、筆者も読者も今は1947年にいる、そしてそこで起こっている事件を一緒に体験している、という仮想現実を作り出しているのだと思う。「途中の挿話文などの一部例外を除いてすべての文章が現在形で語られている」というのもそれを裏付けることだろう。

多少違うかもしれないが、過去の出来事を現在形で話す、ということは英語でも日本語でもよくある。
 ------------
 Last night, Joe calls me and says he wants to meet straight away.
 昨日の晩さぁ、ジョーが電話かけてきてすぐに会いたいって言うんだよ。
 →話者は昨日のことを思い出しながらあたかも自分が今そこにいるような気持ちで話している
  (日本語も現在形であることに注意)
 引用 「ネイティヴの感覚がわかる英文法」 大西泰斗、ポールマクベイ/Nova出版
 ------------

普段の会話で過去のことを話す場合でも、臨場感を出すために現在形を使うことはよく行われているわけで、Ghostsの文体はそうしたことにつながるものだろう僕は考える。だから柴田氏の訳でよいと思う。

|

« Vibesは婿養子 薬師寺の巻 | トップページ | Vibesは婿養子 ノスタルジック近鉄急行の巻 »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: the time is presentの解釈:

« Vibesは婿養子 薬師寺の巻 | トップページ | Vibesは婿養子 ノスタルジック近鉄急行の巻 »