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2005/03/23

SharakuにBobさん、ラムちゃん

anime
兵庫県立美術館が移転し新らしくなったそうだ。名にし負う安藤忠雄氏の設計だそうだから期待していたが、ゆうけいさんによるとかなりへそ曲がりな造りのようだ。もとあった王子公園前というのは僕の実家に近いので、以前はたまに行ったりしてたんだけど、最近はとんとご無沙汰だった。だからゆうけいさんご紹介のドレスデン国立美術館展は是非行きたいものだ。

というところで、そのゆうけいさんのBlogで「ボブのジョイ・オブ・ペインティング」という懐かしい言葉をみかけたので、ちょっと描いてみよう、いや書いてみよう。

件のボブ・ロス氏は随分以前に亡くなられているんだけど、一時期は随分話題になっていた。僕が年一回のアメリカ出張をしていたころはその筋の見本市だったので、確かご本人も拝見したような覚えがある。ブースであのひげ面で愛想を振りまいていたような・・・昔のことなので記憶はちょっと曖昧なんだけど。

日本でも一時期は米国で資格を取得した講師が教室を開いていたが、意外に広がっていないようだ。ああしたマニュアル的な技法はアメリカ人には受け入れられやすいが、あまり日本人向けではないのだと思う。それとアメリカ人は基本的に絵画などを家の中に飾るのが好きで、一般人の絵画の購入量も日本人とは比べ物にならないことから、自分でも描いてみたいという人口もずっと多いのだろう。

ボブさんはそうした手軽にきれいな絵が描けるという画期的な技法を開発し広めたという意味で大きな功績を残したといえるだろうが、ああした技法というのは趣味の世界のいわゆるトールペイントの世界に属するといえる。トールペイントは日本でもそれなりに広がっているが、これもある作法に従えば比較的簡単にきれいな絵を描くことができる。細かい技法はそうしたサイトや本に譲るとして、これをアートと見るかどうかという点では議論のあるところだ、というか一般にはアートではなくクラフトという分類になっている。

ボブさんの絵も練習すれば誰でもそれなりの絵が描けるという点や、その技法を教える講師養成という点ではトールペイントと同じビジネスモデルで成功したのだろう。ただそれが長期にわたって鑑賞に堪えるものかどうかというとちょっとね、ということだなぁ。

以前、大阪の梅田界隈でもボブ風の絵を並べて売っている外人さんをよく見かけたが、売れていたかどうか怪しいしいつの間にか見なくなった。「道端絵(みちばたえ)」などと口さがないことをいう人もいたくらいだ。ただボブ氏の絵から本格的に絵画に目覚めた人もいただろうし、アメリカにおける芸術のすその広さをある意味では示しているともいえよう。

本質的にアートとクラフトの違いは、もちろん技巧的なものもあるが、それを描く人の問題だろうという気がする。技巧的な面でいえば、西洋絵画は基本的にはグレーズである。グレーズというのは透明感のある絵の具の層を何層も何層も塗り重ね、画面を通して何層もの下層の色をみることで奥行きを出していく。だから油絵の具のような乾燥の遅い絵の具で描くには相当な時間が必要になる。

その点でボブ氏の絵はあくまで表層的な技法で似て非なるものを再現しようとしているといえる。とはいえ、技法自身はあくまで絵画の価値とは直接関係はしないのだが。

表層的な技法というと、ちょっと話題がずれるがなんと言ってもそれは日本の伝統芸だろう。浮世絵のような版画は油彩のように何層も重ねるのではなく、一つの層で鮮やかに決めることが多い。この伝統は今も受け継がれていると思う。

顕著な例としてアニメがある。アニメはすでに世界語になっているが、極端なデフォルメやベタっとした原色主体の着色などまさに浮世絵の伝統を受け継いでいるというのが僕の見解だ。対して、欧米のコミックやアニメはやはり基本的には写実的で奥行きを生かした西洋絵画技法を踏襲していると思うのだ。

アニメは今やかつての浮世絵と同じように世界の芸術にも影響を及ぼしているのではなかろうか、ってなことで、チョン!

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コメント

 Takiさん、お久しぶりです。TB有難うございました。迷った私が悪いのか、迷わせた安藤さんが悪いのか(爆。ともかく車で駐車場に入れられた際には1階に上がった時点で係員を見つけてくださいね。
 そうですか、ボブさんのはちょっと油彩とは異なるんですね。自分は見るのは好きなんですが、油彩はした事が無いもので勉強になりました。画家はああやってどんどん作品を作っているんだと思っていました(^_^;)。さすが、ペイント関係のご職業だけあってアートにもお詳しいですね。これからも色々と教えてください。

投稿: ゆうけい | 2005/03/23 12:03

ゆうけいさん、コメントをありがとうございます。
ボブさんの絵も油彩なのですが、画家がみなあんな風に作品を作ってたらあっという間にインフレになってしまうでしょうね。
ちょっと調べてみたら、あのシリーズがDVDで発売されてまた話題に上っているようです。あの方はきっといわゆる芸術ということよりも描く楽しさを伝えることに徹した人だったんではないかと思います。それはそれですごい人ではありますね。

投稿: taki | 2005/03/23 22:20

ボブ・ロスっていうんですか。覚えてますよ。衛星放送でよく見てました。名前をどうしても覚えられなかったので、「BSの絵かきオヤジ」とひそかに呼んでいたのですが、なくなられたのでしたか。

「ここにハイライトを」「カドミニウム・イエローで」とかいう独特のフレーズととも(ハケでぼかしを入れたりして)にマジックのように絵ができ上がっていくのを見るのは楽しいものでした。

東急ハンズで彼のビデオが流されていたのを見たことがあります。彼が使っていた画材を売っていたのかもしれません。

投稿: chachamaru | 2005/03/24 00:43

chachamaruさん、コメントをありがとうございます。
意外とといっては失礼ながら、ボブさんの番組を見てた人って多いんですね。あれも一種のショーなんでしょう。記憶は定かではないんですが(なんせ十数年前の話なんで)僕も見本市でボブさんが実際にデモをしているのも見たはず。軽妙なおしゃべりがまた魅力だったと思います。
ただですね、ああした技法で描いた作品がどうかっていう話になると、喩えれば1月でギターが弾けるようになりますとかのビデオをみたとして、それでがんばって数年でジャズを演奏するようになったとして、それがウェスのギターに比べてどうかっていうのと、ボブ式で絵を描いて、ゴッホの絵とどうかってのと、まぁ話としては似たようなもんだと思うんですよ。あくまで自分で描いて楽しむっていうことですね。
ボブさんは教師としては優れた人だと思いますし、それなりの作品も残していらっしゃるのだと思いますが・・・

投稿: taki | 2005/03/24 23:03

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