« A Girl With A Pearl Earring/Indian Yellow | トップページ | A Girl With A Pearl Earring/The Next Subject »

2006/09/01

A Girl With A Pearl Earring/Illusion

A20060902144803 映画「真珠の耳飾りの少女」の台詞考察2回目。前回に続く絵画「真珠の首飾り」を中心とした場面。会話はvan Reijinを中心に進むが、Reijin役の話し方はかなり癖があって分かりづらい。うまく聞き取れないところが多かったが、自分の間違いを書くのも紙面の無駄だしハズカシィ、なので間違ったところは訂正を太字で記した。台詞はCaption Swapが前回に紹介した Dialogue Transcriptよりも正確なようだ。他の映画の台詞もあるらしい。

wife:Vermeerの妻、van Reijin(VR):Vermeerのパトロン
Emillie:VRの妻、mother:Vermeerの義母

wife: I cannot bear the suspension a moment longer, Master van Reijin. Pray tell us what you think.
van Reijin(VR): This is good. Colour, perspective is true, illusion is perfect. All this skill lavished on my dear Emillie, why, it's almost as if she were thinking.
mother: And have you considered the subject for your next commision? We cannot expect you to give up Emillie for so long again.
VR: Considered? That's already in hand, didn't I tell you? A coming fellow from Amsterdam studied under Remrandt van Reijn, though, who hasn't these days? "A merry company by candle light", candle light being his forte.
mother: Oh.
VR: So have you decided what to daub next, Jan? Have you found inspiration up in that room of yours? Is there another patron in Delft with pockets as deep as mine?
Vermeer: I've not yet found the subject.

自分の耳だけだと中々うまく聞き取れないが、正しい台詞が分かってからだと意外と簡単に聞こえたりするところが、ちょっと悔しいね。

I cannot bear the suspension a moment longer, Master van Reijin. Pray tell us what you think.
「真珠の首飾り」のような手を上げたポーズには一瞬でも絶えられませんわ、というところ。Master van Reijinは名前と思わなかった先入観で聞き取れず。
Pray tell us・・・Please tell usかと思ったのだが、このprayは古語で副詞だそうだ。意味はplease に同じ。

Colour, perspective is true, illusion is perfect.
ここが曲者の第一弾、Colour, perspectiveで切り、is true illusionと言い、is perfect.と締める。だからてっきり、Colour, perspective, its true illusion, it's perfect.だろうと思ってしまう。似たような話し方が後にも出てくる。

Colour(時代を考えてイギリス綴りに)は色彩、perspectiveは遠近法。Vermeerは色彩に加え遠近法を駆使したことでも有名だが、それが映画にも出てきたカメラオブスキュアという写真器の前身を使ったのではないかという仮説を生み出している。実際のところ、初期の作品では遠近法に拘りすぎて不自然になっている部分もあるそうだ(「謎解き フェルメール」 小林頼子 )。
素人考えでは遠近法を正しく使えば、少なくとも3次元的表現が必ずできるように思いがちだが、実際に人間の目には却って不自然に映ったりする。それは人間の目が視野全体を一度に見ているわけではなく、頭や視線を動かしてみるために遠近法の消失点が一点に定まらないからなのだそうだ。だから名画といわれる写実画の消失点は一点ではなく何点もあることがよくあるらしい。例としてルノアールの奇妙にゆがんだ空間も、わざとしたというよりそれぞれの対象物に視点を移して見たままを画面に再現した結果だという説もある(「絵画技術入門」 佐藤一郎)。

Vanishing_poitss_1 多消失点の例としてよく引き合いに出されるvan Eyckの「アルノルフィーニ夫妻(1434年)」に、消失点につながる線を引いてみよう(左イメージ)。消失点が3箇所ある上に平行線があったりしているが、絵自体に不自然さは感じない。これをして、van Eyckは遠近法を理解していなかったという論もあるが、前述のように実際に目でみたままを描いたか、あるいは鑑賞者の視線が向かう方向を計算して描いたとも言われる。実際、以前にNHK新日曜美術館でCGにより消失点を水平線上の一点に来るように変形させると却って不自然な画面になる実験を見せていた。
van EyckはVermeerより200年くらい前の画家。ほんの20年ほど前までは油絵具を初めて開発した画家といわれていたが、実際にはそれ以前から油絵具らしきものがあったことが現在では分かっている。今では現在に至るまでの油彩画の技法の基礎を確立した画家と認識されている。イメージはThe Archiveから。

さて、それに関連してillusion-字幕では「幻想性」となっているが、ここでは絵画的意味の「幻影」としたい。

本来は、現実に存在しないものを存在するかのように誤解することを意味している。写実絵画の場合、物体としては手で触るまでもなく画布は平面にすぎないのに、描かれている対象物には量感や奥行きが感じられ、三次元の立体、空間があたかも画面の中に存在しているかのように見えてしまう。このことを幻影illusionという。(「トンプソン教授のテンペラ画の実技」 佐藤一郎監訳

しかし今ではさらには抽象表現における「幻影」あるいは「錯覚」として意味は広がっているようだ

少々長くなったので、続きは次回に。

|

« A Girl With A Pearl Earring/Indian Yellow | トップページ | A Girl With A Pearl Earring/The Next Subject »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: A Girl With A Pearl Earring/Illusion:

» トンプソン教授のテンペラ画の実技 [忍者大好きいななさむ書房]
トンプソン教授のテンペラ画の実技 [続きを読む]

受信: 2009/09/30 15:30

« A Girl With A Pearl Earring/Indian Yellow | トップページ | A Girl With A Pearl Earring/The Next Subject »