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2006/09/14

学生の頃、というから1970年代初頭だが筒井康隆の、どの本だったか、電話帳は「あいうえお」順で見出しがあって、個人やら店やらが掲載されているが、「ん」という見出しはない。だから「ん」という店を作れば、電電公社(今のNTT)はその店だけのために新しい見出しを作らなければならなくなる、というような話があったと思う。エッセイだったのか「欠陥大百科」にあったのか。

Tutui それを実際にやってしまった人がいた、というのも読んだ記憶があるのでネットで調べてみたら、それは「乱調文学大辞典」に載っていたらしい。

学生当時は筒井康隆に凝って、手に入らない本は大阪の古本屋まで探しに行ったこともあったが、働き出してから筒井康隆には興味がなくなり、大阪から神戸に引っ越す時にほとんどの本を処分してしまった。だからどちらの本も確かめることはできないのが、今となってはちょっと残念。

神戸三宮と阪急六甲に「ん」という喫茶店ができたのは74年前後だったのではないかな、僕も六甲の「ん」には学校の行き帰りによく通った。これも調べてみると、今でも全国に何箇所かはあるらしい。神戸が最初だったのかどうか知らないが、当時から筒井康隆も神戸在住だったから、関係は深いかもしれない。近畿圏では今も尼崎にあるらしい。

当時は高級喫茶店というのか、コーヒーや紅茶が一杯500円というような値段の喫茶店がぽつぽつと出ていて、「ん」もその一つだった。内装も高級志向でBGMはバロックなど。

筒井康隆の本を読んだのだろう、「電話番号案内でこの店の番号は教えてくれるのか」などとオサムイことをマスターに訊いている客を見たこともある。マスターはよく言われるのだろうか、「『ん?』といって教えてくれますよ」などと応えていたことが懐かしい。その喫茶店も数年後にはなくなってしまった。

考えてみると、「ん」と道路をはさんであった行きつけの喫茶店、確か「トリノ」だったと思うが、そこでもコーヒー一杯200円くらいでそれが相場だったような気がするから、今から思うと意外と喫茶店のコーヒーってのは高かったんだなぁ・・・その分、結構粘ったかもしれない。「トリノ」のマスターは当時はやってた漫画の「750ライダー」に出てくるマスターを小柄にしたような気さくな人だった。こちらは大学卒業後も何度か行ったし、家内と結婚前に行った時もまだ覚えていてくれて「いつものですね」と言ってくれたのも懐かしい。今はどうなっているのだろうか。

筒井氏は一度だけ、学生時代に軽音楽部の溜まり場になっていた「MAY HWA(メイファ)」という中国人の経営するレストラン&バーで見かけたことがある。時々来ていたらしい。後輩がそこでバイトしていた時、彼の作品を山上たつひこが漫画化した本にサインを頼んだそうだ。「山上たつひこの本に俺がサインするのか?」とやや不機嫌そうにしながらもサインをしてくれたそうな。

ちなみにMAY HWAはママさんの名前。歌の上手な美人で、そういえば"Watch What Happens"の伴奏をさせられたことがあった・・・されられたというのは、記念なのかなんだったのか歌を録音して残しておきたいというママの話に、伴奏は?、という段になってなぜか僕が推薦されてしまったからなんだけど、あのテープ、まだあるのかしらん。聞いてみたいような、消してしまいたいような・・・。

そ、そうだ思い出した、Musser M-55のヴァイブを初めて家から持ち出して演奏したのもあのメイファの新年会だったような気がする。

何だか70年代というのは、色んなことがあったような気がするがそれは自分が色々と新しい経験やら変化をした時代だったからかもしれない。

さて、こんなことを思い出したのは、坂口安吾全集の14を読んでいたら収録のエッセイ「新作いろは加留多」の書き出しが次のように始まっていたからだ。

いろは加留多には「ン」がない。多分ンで始まる言葉がないからだろう。

何だ、「ん」は筒井のオリジナルじゃなかったんだ、坂口安吾の二番煎じだったんだ・・・ひょっとすると、さらにもっと前に書いた人もいたかもしれない。

筒井康隆の本は面白いものもあるが、ワンパターンなのも結構あってやがて飽きてしまったんだけど、一冊だけまだ置いている本がある。神戸の街についてのエッセイが載っている本で、彼の描いた漫画なんかも載っているのだが、物置のどこかにしまっているのでタイトルが確かめられない。ネットで検索してみると、どうやら「暗黒世界のオデッセイ」のようだが、ちょっと分からない(多分あってると思うが)。

三宮から神戸駅に至る、改装前の怪しげだったころの高架下商店街などが紹介されていて、そ地元民にはなかなかと面白い本なんだけどね。そうそう、大学の時にchachamaruさんとその改装前の高架下を延々と歩いたこともあったっけ。

最後に「新作いろは加留多」から「ン」:

ンをウンと読む利口者 (坂口安吾/新作いろは加留多)

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コメント

こん**は。わたしも阪急六甲の「ん」と言う喫茶店の事は覚えてます。あまり入った事はなかったですけど。

筒井さんの神戸にまつわるエッセイでは、垂水の自宅前で「バブリング創世記」を暗読したやつがいたとか、痔でタンポンをお尻に挟んで垂水駅前を歩いていたところ落っこちてしまい恥ずかしい思いをした、とかいうのが印象に残ってますね。

投稿: ゆうけい | 2006/09/14 15:44

ゆうけいさん、コメントをありがとうございます。
「ん」によく通った、というのは本当はウソで私もたまにしか行ってませんでした、高いですからね。つい勢いで書いてしまいましたが、向かいの喫茶店の方によく行ってました。
タンポンの話、ありましたね。一畳の大きさが東京と神戸で違っていたとか、*ンチを皿に乗せた、とか色々あったような。

投稿: taki | 2006/09/15 18:43

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