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2007/01/14

Edward Hopper

昨日のTV「美の巨人たち」は、僕の好きな米国の作家Edward Hopperだった。

Hopperの絵は好きだったものの彼自身についてはよく知らなかったのだが、昨年、VOA Special EnglishのPoeple in Americaで取り上げられていて、その生涯や作品などについてもある程度の知ることができた。しかし番組はVOAとはやや印象の違う紹介をしている。

番組では有名になったのは40代になってからとは説明しているものの、それまでの苦労などは紹介していない。VOAによれば有名になるまでの長い間、両親の勧めに従って生活のために宣伝広告関係の仕事(Commercial Art)を続けたそうだ。そしてその傍らで自分の描きたい絵を描いたがほとんど売れなかったという。(詳しくはVOAを)

またNYでCommercial Artを学んだ時に同時に絵画の勉強をした時の師である、Robert Henriに一番大きな影響を受けたこと、フランスではあまり学ぶものがなかったことなどがVOAでは語られているが、番組ではむしろフランスが大好きで印象派の影響を大いに受けたような解説になっている。いずれにしろHenriに習った具象表現が自分の道と考え、当時パリで盛んになっていたPicasoなどの抽象表現には関心を示さなかったのは確かなようだ。

作品の中で特にChicagoart1 有名なのは"Nighthawks"で、仕事で訪れたシカゴ美術館(右写真:1990年)で本物を観ているはずなのだが、なぜか写真は撮ってきていない。また番組で紹介された"Gas"もニューヨーク近代美術館で観た覚えはあるがこれも写真を撮っていなかった。今思うと残念至極だ。

Nighthwk VOAでは、この絵が描かれたのはちょうど日本が真珠湾攻撃をした直後であり、当時の米国民の戦争に対する不安感を表しているとして非常に有名になったと説明している。うまく表現できないが、今まではクールでニヒルなアメリカの孤独な夜というようなイメージで、不安とはあまり縁のない絵と観ていたのだが、真珠湾攻撃という時代背景との関連があると知って背後に迫る不安を感じながら見直すと、まるで違う絵のように見える。

これも番組では解説されなかったが、具象表現にこだわったHopperは、やがて戦後にJackson Pollockを代表とするアメリカを中心に起こった様々な新しい抽象表現に取り残されて行った。

さて、Hopperは成功を収める少し前に生涯の伴侶であるJo Nivisonと出会うが、亭主関白だったようだ。

His wife sometimes said that Edward tried to control her thoughts and actions too much. However, most people who knew them said they loved each other very much. They stayed married for the rest of their lives.(VOA)

画家を支える妻という構図はよく聞くものの、著名な作家の場合、破局に至るケースが多いように思うが(単なる思い込みだろうが)、Hopperの場合は生涯、おしどり夫婦だったようで、Hopperが亡くなった翌年にはJoも亡くなっている。

夫婦が片方だけ長々と生き残るというのはあまりしたくないなぁ、と常々思っている僕にとっては理想的な夫婦だね。

Two_comedians VOA Special Englishでは、あくまでHopperを、観るものに不安感や疑問を起こさせ推理をしたくなるような画風の作家としてしか紹介していないが、「美の巨人たち」の"今日の一枚"では、それらの絵とは違い、生涯連れ添った二人の姿を最後に描いたという"Two Comedians"を取り上げている。このような絵は、多分、長い人生を振り返った上でないと描けない絵だろうと思うし、老いること、死に向かうことが決して悪いことではないと知らしめてくれる。生涯の最後を、このような二人の姿で終われたら素晴らしいだろうな。

ところでこの"Two Comedians"のリンク先にしたTate Modernの画像の下に、Mrs Frank Sinatraとあるのが気になるね。あのシナトラの奥さんが所有しているということだろうか?

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コメント

こん**は。Nighthawksはこれぞアメリカの風景と言う象徴のような名画ですね。日本でこのような夜のアメリカの光景に憧れた人も多かったんじゃないでしょうか。

先日のホイットニー美術館展でもいくつかみたような記憶があって調べたら3作出ていました。「クイーンズボロウ橋」や「踏み切り」の情景が如何にも古き良きアメリカらしかったです。挿絵画家の方が忙しく、このような作品があまり評価されていなかったのは不思議な気がしますね。

投稿: ゆうけい | 2007/01/20 08:58

ゆうけいさん、コメントをありがとうございます。
Nighthawksは色んなパロディーもあって、非常に多くの人に注目されている絵ですね。VOAによれば日常の中の孤独を描き出す画風が、例えば大恐慌の不安な時代背景とマッチして人々に指示されたようですが、世界的に抽象画に向かう時代に逆らって、ある意味、具象による抽象表現をした画家ではないでしょうか。

投稿: taki | 2007/01/20 23:12

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