Il Canal Grande
一昨日の"A Foggy Day in Vanezia"にいただいたコメントで、ゆうけいさんからMJQの"No Sun in Venice"をご紹介いただいた。ロジェ・ヴァディム監督の同名映画(邦題「大運河」)のサウンドトラックである。
残念ながらこのアルバムは持っていないが、その中の曲"Three Windows"がMJQとスイングルシンガーズの共演盤に収録されている。そちらのアルバムについては以前に少しふれたことがあるが、高校の時に買って何度も繰り返し聴いたものだ。その解説にあったロジェ・ヴァディム、大運河、ヴェニスという言葉と、短調の静かに、しかし徐々にクライマックスに向かうフーガ形式の曲に、ヴェニスの大運河を想像してみたりしたものだったが、'81年末から'82年初に訪れたヴェニスは、そのイメージのままの霧に沈んだ灰色の世界だった。
大運河はヴェニス本島を二つに分けて真ん中を逆S字型に通り抜ける運河。右上は、リド島へ渡ったときに船から撮ったサンマルコの鐘楼。塔頂が霧にかすんでいる。そこから左に目を向けると大運河の入り口、つまり左の写真となる。すっかり霧に包まれてほとんど何も見えない。
船で15分ほどでリド島に到着する。雨と霧に包まれた冬のリド島は、夏のリゾートがすべて閉鎖され、ほとんど人影もない寒く淋しい島だった。誰もいない海岸を二人で歩き、ホテルの朝食で余分にもらったオレンジマーマレードの入ったクロワッサンを軽いランチ代わりに食べたことだけが印象に残っている。結局、写真も撮らず、そのまま本島に帰るしかなかった。
帰ってきたサンマルコ広場も霧に包まれている。鐘楼の横に宙に浮いて見えるのは、夜になると照明になるライトが左右の建物から張られたロープに吊り下げられているものだ。
ところで大運河はイタリア語ではil Canal Grande 。映画の題名についている副題「グランカナル」はフランス語ではないかと思う。
"Three Windows"は延々と短調で静かに流れるが、最後は長調で終わる。霧に沈んだヴェニスも最後には素晴らしく晴れたことと、何だか符合している。
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