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2007/04/09

Don't Explain

To Come Home to、如何なりしや?

Helen_m 歌の歌詞やタイトルをコネコネと説明するのは野暮というもの、Don't explain・・・、なんだけれど、まぁ、乗りかかった船だから最後までお付き合いください。

NiftyServe、パソコン通信の英会話フォーラムからのrephrase等を挙げてみます。

You'd be so nice to come home to.

1. You are the nice one who I wish I could come home to.
 (You are the nice one to whom I wish I could come home.)

whoは本来はthat/whomだが、口語ではwhoあるいは省略。come home toの後には名詞が来る。ここでは関係代名詞につながっている。この文を関係代名詞のところで二つの文に分けるてみると(英語の問題によくありましたね):
   You are the nice one.
    I wish I could come home to the one (=you).

2. You (are the one that) would be so nice to come home to.

「しみじみと胸に応える」という成句であるかどうかのポイントは、come home toで成句なのではなく、come home to somebodyで成句だということだ。だからtoの後に何が来るかで意味が変わってしまうことは前回に書いた通り

さて、最終的にはネイティブスピーカーがどう感じるかであるが、その点についても「英会話フォーラム」で答が出されていた。この曲名をみて、第二外国語として英語を教える資格を持ちある大学で教えている米国人は次のように話したそうだ。

"It would be nice to come home to you."と"You would be nice to come home to."は意味は同じだが、"You would ..."の方は非常に悪い文で、通常はこのような文は書かない。
「悪い文」というのは、フォーマルな例えばビジネスレターではこのような文は悪いとされるという意味だが、会話ではごく普通に使われる。何故このような語順になるかといえば、会話は頭に浮かぶ考えがそのまま言葉になるので、計画的に作る書き言葉とは違うということだ(つまりはまず一番重要な語が来てその後に説明がついてくるようなことが良く起こるので、まず頭に浮かんだ"You"が語頭に来てしまったということになる)。作者のコールポーターは話し言葉の語順にすることで、暖かみのある会話的な表現にしたかったのだろう。また歌詞がYou で頭韻を踏むためという理由もあるだろう、と説明している。

結局のところ、米国人は"It would be so nice to come home to you."と同じ文であると感じているのだから「僕が帰っていく先である君は素敵だろうね」というような意味になり、「しみじみ胸に・・・」の意味はどうもなさそうな感じだなぁ。

Murakamisan ついでながら村上春樹の「そうだ、村上さんに聞いてみよう/朝日新聞社」にもこの歌の題について触れられているというコメントがあったので、図書館で早速借りてみた。
残念ながら本文中の282の質問にはなくて、巻末の特別付録「歌詞の誤訳について」の中で簡単に触れられているだけ、そしてやはり「(仮定として)あなたは帰っていくべき素晴らしい存在となります」となっている。
でも村上さんは「『帰ってくれれば嬉しいわ』とヘレンメリルが色っぽく歌った方が、歌の雰囲気としてはいいような気がしますね。」とも書いている。

ところで村上さんはこの歌が「『帰ってくれれば嬉しいわ』とか『恋人よ帰れ』とか訳され・・・」と書いているのだけど、後者は聞いたことがない。ひょっとして「恋人よ我に帰れ」="Lover Come Back To Me"、通称"ラバカン"(ちょっと品がない言葉だね)の間違いではないのか・・・、と思って調べてみたら、ビリーワイルダー監督の"The Fortune Cookie":邦題「恋人よ帰れ、我が胸に」の中でこの曲が使われているということらしい。

さて、冒頭の写真は僕が持っているヘレンメリルのLPを並べてみたもので、左から"The Nearness of You"、"The Feeling is Mutual"、"Helen Merrill with Cliford Brown"、"A Shadow of Difference"、そして上に乗っているのが先日衝動買いをした"The Feeling is Mutual"のCDだ。CDジャケットはメンバーの写真だけになって少々つまらない。"The Nearness of You"はビルエバンスが共演していることで有名だ。
右端の"A Shadow..."は"The Feeling..."と同じメンバーで吹き込まれたアルバムだが、やはり二匹目のどぜうはいなかったという・・・、残念!ちなみにラバカンが入っています。
そして今回のタイトル"Don't Explain"は、"with Cliford Brown"、"The Feeling is Mutual"のどちらにも収録されている曲のタイトルで、ビリーホリディの作曲です。

最後にアメリカ人のご意見を引用しておきます。ただし意味ではなく文法的な説明です。

  "You'd be so nice to come home to"
I think it is only a “bad expression” in the context of highly formal written English in which strict grammatical rules are applied. However, such expressions are used frequently in casual spoken English, and they don't sound at all "bad" or strange to the native speaker listener. This difference between written and spoken is really a difference between planned and unplanned discourse. When we write, we have the luxury to plan what we say before we write it and even correct our writing if we notice a mistake. In conversation, we often speak as a thought comes to us, and thoughts do not always occur to us in the arbitrary sequence which any particular language tries to impose. Thus, why did Porter use this expression? After all, he had the luxury of writing the lyrics before singing them.  I think using the unplanned, spoken form gives his song a warmer and more conversational feel.  Also, there may have been a poetic reason (e.g., perhaps other lines in the song begin with "you").  Song lyrics, just like movie scripts, are first written but their goal is to imitate real speech.  In my opinion, this is exactly what Porter has done.

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