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2007/08/09

Approach Chord

Dim7コードの続き・・・前回、Corcovadoなどに出てくる、Abdim→Gm7というような場合のdimをアプローチコードと呼んだことについて、PICKS CLICKSさんからコメントを頂いたので僕なりの考えを書いてみたい。

普通は半音上の7thコードをアプローチコードというようなので、この場合のdim→m7を同じように呼ぶのが正しいのかどうかは知らないが、半音上(あるいは下)からの音をアプローチノートというから、何となく自己流にそう呼んでいる。

00 なぜかというと、例えば左のcorcovadoのコードでは、Abdim(G#dim)→Gm7において、F、Dの音はそのままで、Ab→G、B→Bbというアプローチノート的な動きがあるからだ。

03 よくある動きというのは、トニックのベースを3度の音にして順に下がっていくというパターンで、典型的なのは"I can't give you anything but love"に見られる。

ここでは、ギターで弾く場合の譜面にしてみたが、3小節目までの進行では、B→Bb→A、D→Db→C、という二つの音が半音ずつ下がっていくことが分かる。一方で最初のコードをG6とすれば、G、Eは据え置いたままになる。

04 もっとくっつけて二つの音の動きを分かりやすくしてみたのが次の楽譜だ。

01 同じような進行は"Someday, my prince will come"にも見られる。8小節目からのコード進行が左の楽譜。Dm7→Dbdim→Cm7となって半音ずつ下がる二つの音がある。このDm7は実はBbmaj7の代理コードなので、これもBb6で考えれば上の曲と同じ進行になる。

02_2 このようにテンションを適当につけてみると、I→IIm7の間にdimを入れることで、コードの4つの音のうち、二つはそのまま動かず、他の二つが半音ずつ下がっていくことになるので、間のdimを勝手にアプローチコードと僕は呼んでいるわけだ・・・と、ここまで考えてくると、経過コードとでも呼んだ方がいいのかもしれないね。

で、実際の演奏の場合は半音ずつ下がる音を意識していれば、据え置きになる音は適当に他のテンションに換えてもいいので、あまり深く考えない。

そうするとそれらの音から使えるスケールの変化が見えてくると思うのだが、ここでポイントになるのが、ギターを弾いている場合だ。

ギターはコードが上下方向にフォームとして簡単に作れる代わりに、フォームで進行してしまう傾向にあるため、コードの各音の動きが見えにくい。

それからスケール方向、つまり水平方向の動きと、コードの垂直方向の構造を、同時に感覚的に捉えることが難しい。

特にスケールでは弦を移動して弾く必要があるが、そのためにスケールとコードが感覚的に不連続になりやすい。つまり一本の弦でスケールは弾けないことはないが、コードは一本では弾けない。反対に垂直方向のコード構造はスケール感覚を不連続にしやすい。だからコード進行は簡単に追えるのだが、それに合せたスケールが直感的につかみにくいというのが、僕の経験則だ。コードフォームを覚えて簡単にコードが弾ける、という楽器の落とし穴である。

一方でキーボードの場合は、鍵盤上の各音は一つずつしかなく、横方向に連続していて、なおかつその中でコードも弾くことになるから、スケールとコードが共存する。だからコードの構成音が一目でそのままスケールの中に直感的に組み込まれる。つまりコードトーンの間を埋めれば自然にスケールが出来てくることが、視覚的にも分かりやすいのだ。

それと、キーボードではコードの音を離そうがくっつけようが、かなり自由に弾けるので、コードの流れを色々と工夫したり分析しやすいが、ギターではコードを作る場合に上下方向に対する横方向の自由度がキーボードに比べると非常に低いために、工夫や分析がやりにくいということもいえる。

という訳で、僕はコードとスケールの学習はキーボードですることをお勧めする次第である。

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コメント

Fdim→Em7にしてもE7-9→Em7にしても、それをアプローチコードと呼ぶことはわかりました。というか、譜面にそう書かれていなくてもやったりすることはあるわけで。

それが譜面に書かれて、正式に「ほら、こういうコード進行だ」と言うことになって、演奏者全員がそのコードを意識しているときに、ではそういうソロをするか、どういうスケールを使うのか?という問題なんですが。いろいろやってみたけどしっくり来ないもので。Corcovadoのように2小節も続くと、とても辛い。

I→IIm7のあいだにdim7を入れるってのはIIIbdim7ってことですか?
VIdim7のことだとすると、それはIIm7を引き出すドッペルドミナントのような気がします。

投稿: Picks Clicks | 2007/08/15 00:13

トラックバックをどうやったらいいのかわからないので。

http://picksclicks.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_f678.html

投稿: PICKS CLICKS | 2007/08/15 17:57

横レス失礼つかまつる。

> I→IIm7のあいだにdim7を入れるってのはIIIbdim7ってことですか?

iii => iiib => ii
v => vb => iv

による3つの経過音を意識したものと思われる。これらのアプローチノートに対してそれが経過的に把握(認識)可能である事を条件とするなら、次の物も排除できない事に注意されたし。
I => C#dim => IIm7
i => i# => ii
vii => viib => vii

これは何かというと、通常の機能的な連接である。しかも全てのDim コードにも適用可能である事に注意されたし。事実上、この拡張概念は機能的に何であるかとは無関係なのである。したがって

> VIdim7のことだとすると、それはIIm7を引き出すドッペルドミナントのような気がします。

というのは、そのようにも解釈できるが必然性もないわけ。実際に、クラシック系の音楽理論ではその様に、つまり機能的な解釈とは全く異なる原理として扱われる(双方の原理の間で明らかに矛盾が生じるにもかかわらず)。これを機能的に取り扱うか、旋律的に取り扱うかは立場が分かれる。オッカムの剃刀を適用するかどうかはとりあえず先送りにしよう。だから、「経過コードとでも呼んだ方がいいのかもしれないね」というのも、歴史的にも間違っていない。

では、アプローチコードなる呼称はどういう事かと考えると、次のコメントが参考になると思う。

> 譜面にそう書かれていなくてもやったりすることはあるわけで

つまり即興のなかで、この経過コードなるものが事実上自由度を奪っていると、不満を言っている訳だ。なぜ奏者に任せない?まあ、そういう価値観なのだから、正しいかどうかという問題とは別なのだろう。

もちろん、経過コードを無視することもできる(仲間の了解があれば)。経過コードを近親調の固有和音とみなして矛盾しないオルタードテンションを乗せる事もできる。テンションの間で経過音を考えることもできるので、他の奏者と対立するテンションを載せることもできる(仲間の了解があれば)。凝れば凝るほど難解になるのは変わらないとおもう。

また来るニャ。

投稿: Chiari | 2007/09/18 23:15

忘れていたけど、Jobim の曲はかなり綿密に書き込むタイプだ。Picks Clicks氏の価値観に従うなら、自由度のない(いわばクラシック寄りの)音楽だという事になる。私はそれが問題だとは思わないけどね。ただし、Jobim やSwing out sisterの曲のそういう箇所は、全く異質なコードに直されることがある。同じように感じる人は結構いるのではないかと思う。実際このあたりは、腕の見せ所と考えているのかもしれない。各自適当に対処するしかないと思う。

さて、このような書き直しをするにせよ、(どこを直すべきかという意味で)Taki氏の分析は必要不可欠だとも指摘しておきたい。また書き直しされてしまうにしても、それが価値観と合わないというだけで、この分析が間違っていることの証明にならない事も指摘しておきたい。

投稿: Chiari | 2007/09/18 23:48

Chiariさん、ちょっと留守にしていたので遅くなりましたが、コメントをありがとうございました。
「オッカムの剃刀」というのは知りませんでしたが、調べてみて勉強になりました。選択肢がある場合、より単純なものを選択するということのようですね。
ヴァイブ奏者の赤松氏は、Jobimの曲は「半分は論理的で半分は直感的」とおっしゃってますが「Jobim の曲はかなり綿密に書き込むタイプ」というご意見もうなずける気がします。

投稿: taki | 2007/09/24 15:16

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