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2008/06/08

限りなく不透明・・・

週一回更新が限度のこの頃、今回も音楽関連ネタ。

村上龍の「恋はいつも未知なもの」を読んだは去年のことだ。ジャズの歌詞に絡めた短編が最終的には一つの話になるという小説。いわゆるスタンダードナンバーの歌詞の訳が短編ごとにあるのだが、こういう歌詞というのは、英語だと別に気にならないが日本語にすると何とも恥ずかしい気がする。

小説は半分くらいまでは、読むのが結構しんどいというか退屈だったというのが感想。

それから、デビュー作だったか、「限りなく透明に近いブルー」というのも図書館で借りて読もうとしたが、しょっぱなから麻薬・乱交・暴力が当然のように出てきて、なんだかうんざりしてすぐに放り出してしまった。

これらの本は多分、60年代の世相を表してはいたんだろうけど、「恋は・・・」の方もジャズといえば、酒、タバコ、麻薬という概念が、これも当然のように出てきたりするのも、なんだかなじめない。

50年代、60年代はそういうものだったのかもしれないが、僕の場合は、60年代は中高生で、ジャズを聴き始め世の中に少しずつ入り始めたのが70年代で、その頃にはそうした概念が既成概念ではなくなりつつあった、と思う。

RTFとかウェザーリポートと同時に、ECMレーベルが時代の象徴の一つでもあり、そうしたサウンドは、個々のプレーヤーやその周囲の事実はどうだったかは知らない(ジャコのケースもあるし)が、サウンドとしては、酒、タバコ、麻薬というラインからは、はずれていたと思う。

先日の赤松氏のBlogにあった、次の言葉がまさに僕の感じていたことを明瞭に表してくれていた。

僕は自分の知らない時代の事はロマンを寄せる事こそあれ、信じてはいないのです。
少なくとも自分が生まれる前の音楽に関しては、です

村上龍の小説を読んでいると、60年代は別にして、自分の知る以前の時代に憧れて何とか表そうとしている部分に無理が出ているように感じる。だから、「恋はいつも未知なもの」では、リアルタイム経験のある大橋巨泉の後書きが一番よかった、なんてことになるのだろう。

その点、村上春樹も同じような時代のジャズを書いているが、そのような無理があまり感じられないのは、表現法もあるだろうが、ジャズ喫茶を開いていたことも関係あるのかな。

話がずれてしまったが、「限りなく透明に近いブルー」にしても、僕の意識以前の世界なのだろうから、馴染めないのだ。赤松氏の言葉から、それでいいのだとやっと納得できた、という次第。

僕自身が、酒、タバコをしないということもあるが、70年代のジャズとそれ以前の違いの中には、そうしたものやドラッグが必須項目で絡んでくるかどうか、という点もあるのではないかな・・・と思う・・・次第。

さて、今日は昔、NiftyServeのJazz Forumでメンバーの人たちが作ったMIDI伴奏で、"There will never be another you"と"Autumn Leaves"を練習(improvisation)してみたが、駄目だ!だめだ!ダメだ! ちょっと練習の視点を変えないといけないね。

M_b006e1976ae517fd4fcae0fb20f6fea9 ところで、これも赤松氏が紹介している、MySpaceのJet Set Swedenは確かに面白い・・・特に3曲目は笑ってしまった。それから、参加しているヴァイブ奏者のMattias Starlもいいです。赤松氏によると:

「ジャズ批評風」に言えば“エリック・ドルフィーの再来的ヴァイブ奏者現る!”(笑)

そうかもしれない。60年代の終わり頃のサウンドっぽい気がします。ヴァイブと、たぶん口笛のユニゾンのソロは秀逸。

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コメント

こん**は、懐かしい話題ですね。「限りなく透明に近いブルー」はtakiさんと同じ認識でした。私がこの小説に関して驚いたのは、デビュー作でありながら、映画も自分で監督してしまったことでした。それまでそんな人は一人もいなかったんじゃないかと思います。

ますます驚いたことに映画の方がむしろ出来がよかったんじゃないか、とさえ思えたことです。この映画のサントラを持ってるくらいですから、結構気に入ったんでしょうね。

小説としては初長編(多分)の「コインロッカー・ベイビーズ」でぶっ飛びました。こいつは凄い小説家なんだなと分かりました。そう言う意味でレトロスペクティブに考えてみれば、「透明ー」は自分達がついていけてないだけで、騒がれるだけのことはある小説だったのかもしれませんね。

投稿: ゆうけい | 2008/06/10 12:44

ゆうけいさん、コメントをありがとうございます。

村上龍については、自分に合わないとは思いますが、おっしゃるように、騒がれるだけの実力のある作家だとは思います。
実のところ「恋はいつも未知なもの」も途中からはかなり面白く読めました。
ご紹介の「コインロッカーズベイビー」も読んでみたいと思います。ただ、今は塩野七生のイタリア世界にはまってしまって、図書館から借りては読んでいますので、それが一段落しないといけませんが。

投稿: taki | 2008/06/10 23:18

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