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2008/10/13

川村記念美術館-常設展示-現代アメリカ

川村記念美術館-続き-II

Dscf2262 モーリスルイスの後は、常設展示を見る。左はルイス展の出入口に通じる通路で、窓の外の緑が美しい。

ルイス展の出口では、ルイスと関係のある人や研究家などをインタビューした特集ビデオを流していたがそれをゆっくり見るほどの余裕はないので、少しだけ見て次の展示室に移動する。川村記念美術館のコレクションは戦後アメリカの現代美術が多いが、それ以外にもレンブラントから印象派にいたる幅広い作品が展示されている。

ルイス展は二階の東側、そこから二階を西方向に行くと常設の展示となる。展示室の入り口を入ると右の壁にいきなり大きくてカラフルな物体が現れた。

な、なんじゃ、こりゃー!?

というのが咄嗟に浮かんだ正直な感想だ。

フランクステラは名前は知っていて、作品も写真では見たことがあり、アルミやマグネシウムなどの金属に工業用塗料やアクリル絵具を塗りたくる作家というのは知っていたが、これが本物のステラとの第一次遭遇だった。

静のルイスとはまったく違って、非常に動的であり、言い方は悪いがいかにもアメリカらしい大味な作品である。最初に見た作品のタイトルを覚えていないのだが、銀色の金属に光沢のある原色塗料を塗ってあったので、美術館の目録からすると「恐れ知らずの愚か者 3.8X」がタイトルではないかと思う。でなければ「スフィンクス 1.875X」だろう。こうした抽象作品はタイトルを見ても「なるほど」ということは少なくて、「ふーん」というしかないのだが、ステラの作品もそうだった。

American_garage 金属に原色塗料を塗った造形作品は意外と都会的な感じはしない。思い出したのは、Pat Methenyの"American Garage/ECM"に入っている最初の曲、(Cross the) Heartlandという曲だ。Methenyの演奏が大味というわけではないが、Heartlandという言葉の指すイメージだ。アメリカでHeartlandというと中西部、Kansas州辺りから西部にかけての地域を指すことが多い。

ステラの作品を見ていて「なんじゃ、こりゃ」から、やがてアメリカ映画でたまに出てくる、何もないただただ広い平原を真っ直ぐに通る道の途中にあるガソリンスタンドや場末のレストランの原色の看板に大型トレーラーの金属色、その間を風が砂を巻き上げながら吹いている風景が重なってきた。金属と原色から想像するイメージとは違って土臭い。いわゆる"Down to Earth"だ。

それがHeartlandとか、American Garageという言葉につながっていった。だから、僕にとっては「愚か者」でも「スフィンクス」でもなく"American Garage"なのだった。結構、Methenyの音楽と相性がいいような気がする。

ステラの作品は201展示室にあり、9点が展示されているのでそれなりにステラのイメージがつかめたと思う。やっぱり大味アメリカン(悪いというのではない)。

Dscf2035 同じ部屋だったと思うが、ポロックの小さな作品があるのには驚いた。ポロックは大きな作品の印象が強いのだが、小さい作品もあるのだね。やはりあの頭の中をかき回すようなうねりがあるが、小さいだけにそれほどのインパクトはなかった。小さな一品だけというのでは、ポロックらしさがあまり感じられないというところだが、昨年、仕事でマンハッタンに行った際にメトロポリタン美術館で見た大きな作品の印象が強かったせいかもしれない。左上はブレまくっているけど、昨年のメトロポリタンでのポロックの作品だ(本当は撮影禁止だったのだけどね)。実はその時にルイスの作品も初めて見ていて、その大きさに驚いたものだ。その辺りのことは"New York 2007"の記事の続きになるのだが、そのうちに書かねばと思いつつ、そのままになってしまっている。

その他、多くの現代作家の作品があったが、あまりゆっくり見る余裕がなかったので、印象が薄い。サムフランシスなど名前だけ知っていたので、これがそうか、と見たはずなのだけど、これも印象に残っていないなぁ。

その部屋を出て廊下を過ぎると美術館の西の端にある200展示室に入る。

そこがニューマン・ルームなのだが、僕は入り口を入った途端、訳もなく目をそらして、しばらく右側にある窓の外をボーっと見てしまった。

部屋は左右の両側がほぼ壁一面の大きな窓になっており、右は木々に覆われている。その深い緑色をぼんやり眺めていたのだが、はっと我に返って正面を見ると、バーネットニューマンの巨大な赤の画面だ。

Newman_room 右の美術館からいただいたイメージをご覧頂く方がよいだろう。小さな画像だが、多少なりともその大きさと部屋の様子が伺えると思う。

とにかく強烈な赤としかいいようがない。実のところ、僕は部屋に入った瞬間、何がどうだったのか覚えていないくらいなのだ。ただ気がついたら右手の窓の外を眺めていた。

ただ赤い色が塗ってあるだけなら、赤い壁というだけに違いないのだが、明らかにそうではないというのは何なのだろう?

ルイスとともに今回の展示で心に残った作品だ。

ニューマンルームを出て階段を降りるとロスコールームになるが、残念ながら一連のマークロスコーの作品は、ロンドンのテイトモダンに貸し出し中で見ることが出来なかった。

次回はレンブラントから印象派などの作品です。

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