ルーヴル美術館展-17世紀ヨーロッパ絵画-1
東京出張の続きです。
徳川慶喜墳墓から、それより古い歴史ある銭湯で超現代の大庭大介氏の光の干渉に続いては、そのまま上野公園を抜けて国立西洋美術館に向かう。
現在の展覧会は「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」。
ルーヴル展というと毎年どこかでやっていそうだが、神戸とは名ばかりの片田舎の住人には中々と機会がないし、ちょうど帰り道なので予定に組み入れたのだ。さすがに東京+ルーヴルだけあって、平日の昼間というのに随分と人が多い。Hammershoi展のときはこんなに多くはなかったなぁ。
入り口の写真を撮ろうとすると、オレンジ色の自転車にオレンジの帽子のおじさんがいきなり前を横切った。おじさんの向こうに人だかりが見えるが、みなルーヴル展に入る人たち。
チケットを買い、ぞろぞろと人の列に混じって美術館に入る。荷物が重いので空いているロッカーを探すが、中々ない。平日でこれだから、土日はすごいんだろうな、と思いながらも何とか奥の方に空いたロッカーを見つけて荷物を押し込んだ。
展示は人が多くてゆっくり観るということもできず、そこそこに眺めながら出口近くまで来たところで、天邪鬼の僕は気になった作品を再度観るために混んでいる場内を、なるべくは人の邪魔にならないように遠慮しつつも逆向きに戻る。
観終わった感想は、もう一つ主題のよく分からない展示で、まぁ、人集め、資金集めにはなるのかと思ってしまうが、いつものごとく、Takさんの「弐代目・青い日記帳」を拝読すると、的の絞れないほど名作が並びすぎてハイテンションの閾値を超えてしまうのだそう・・・なるほどね。
僕の好きな作品は、まずはラ・トゥールの「大工ヨセフ」。これは新婚旅行でルーヴルに行ったときに観て感動した作品の一つであり思い出深い作品。蝋燭の灯にかざした子供イエスのオレンジ色に透きとおった左手と光に浮き上がった二人の姿が有名だが、今回気がついたのは、その足元の描写だ。茶系統の色で描かれた地面に、同じ色調で描かれたイエスの揃えた可愛らしい両足と、それを囲むようにどっしりと大股に踏みしめたヨゼフの足はこれからのイエスの運命を包み込もうとしているようだ。それにヨゼフの大きく丸くなった背中が覆いかぶさるようで、身体全体でイエスを守ろうとしているようにも見える。足元の角材とヨゼフの持つ錐(キリ)は十字架の象徴といわれるが、それを両手でしっかりと持つ姿もイエスを支えようとしているように見える。聖母マリアの影に隠れてあまり注目されない父ヨゼフを描いた数少ない(たぶん)名画だ(画像はNationMasterから-さらに大きな画像がDLできます)。
名画揃いといっても目玉は恐らくこの作品と、フェルメールの「レースを編む女」だろうけど、こちらは人が多い上に小さすぎてよく分からないというのが実感。24cmX21cmと、とにかく小さいが、その細密な描写は確かに素晴らしいのだろう、としか言えないのが残念。
というところで、次回へ続く。
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コメント
こん**は。確かに「ルーブル美術館展」は的を絞りきれていない回が多いですね、それだけ膨大な作品を収蔵している事の裏返しでもあるわけですが。
ラ・トゥールの作品は素晴らしいですね。マグダラのマリアの連作も好きです。今ではついつい「ダ・ヴィンチ・コード」を思いだしてしまいますが。
投稿: ゆうけい | 2009/03/08 12:19
ゆうけいさん、コメントをありがとうございます。
確かにルーヴルのコレクションは想像を絶するものでしょうね。これだけの作品を出しても多分、全く展示に困らないのでしょうから。
東京終了後は京都に巡回するそうです。できれば家内ともう一度見に行こうかと思っています。
投稿: taki | 2009/03/08 23:33