フランダースの光
順序が逆だが3連休初日の土曜日は、某所から招待券を入手した「フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて」を観るために姫路市立美術館まで行ってきた。
姫路の美術館には何度も行っているが、煉瓦作りのシックな建物が素敵だ。
この3連休はとにかく天気がよくて、草木の緑、空の青、雲の白のコントラストがこれほど強烈に感じられるのは久しぶりのような気がする。そんなときの田舎道のドライブはまた格別だ。
フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて
19世紀の半ば、風景や農村の情景を主題とし、戸外で制作するという新しい志向を持った画家たちは、都市の喧騒を離れて自然の中へと移り住み、ヨーロッパ各地に芸術家村(コロニー)を生み出しました。
ベルギーでは、ゲント市にほど近いシント・マルテンス・ラーテムと呼ばれるのどかな村に、ゲントをはじめフランダース(ベルギー北部地域)各地の芸術家たちが移り住み、質の高い独自の芸術活動を展開しました。(美術館サイト解説抜粋)
19世紀末から20世紀初頭にかけての作品約90点が展示され、かなり見応えはある。初期はバルビゾン派のような写実的田園風景から、やがて印象派となり、最後はキュビズムなどの影響を受けデフォルメされた表現と、おおまかには3段階に分かれている。
こうした先入観で観たわけではないが、どうしてもフランス絵画の影響下にある二番煎じのような印象がついてまわったのは否めない。特に印象派の後半、点描的な作品群は中途半端な気がした。その中で、画像のあった作品を紹介しよう(画像はG-Callから)。
アルベイン・ヴァン・デン・アベール「春の緑」(1900)は、細かな写実的描写が素晴らしいが、作家はもともと画家ではなく周囲の画家友達の影響を受けて40代から描き始めたそうだ。遅咲きの画家は結構いるのだね。
僕が特に気に入ったのは、ヴァン・ド・ウーステイヌの「春」(1910)だ。ブリューゲルのような田舎の人々の情景が、アンリ・ルソーのようにデフォルメされてコミカルで面白い。木が白いのは、虫除けに石灰が塗ってあるからだそうだ。
クラウスの「刈草干し」(1896)は典型的な印象派表現だが、光の輝きが素晴らしい。
ヴァレリウス・ド・サードレール「フランダースの農家」(1914)は印象派とは違った写実のようではあるものの、キリコを思い出してしまった。ほぼ同時代であり、何らかの関連はありそうだ。
フリッツ・ヴァン・デン・ベルグ「日曜日の午後」(1924)はキュビズム等のコーナーにあったが、こんなにきれいな色彩ではなく、もっとくすんだ色だった。画像は色修正されているのかもしれない。
面白かったのは、会場に至る通路にピカソの「ヘレナ・ルビンスタインの肖像」と題したスケッチ(デッサン)が10点ほど無料展示されていたことだ。写実的なスケッチから徐々にピカソ独特のデフォルメがなされ、中にはのっぺらぼうのような輪郭だけの顔もあったりで、実際に段階的にデフォルメされたのかどうかは分からないが、過程が分かるようで楽しい。
姫路市はベルギーのシャルロア市と姉妹都市提携をしている関係から、この企画も招致したのではないかと思う。大都市と違って、人がそれほど多くなく、ゆったりと楽しめるのがよかった。
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