Korean Peninsula would be so nice to...
小説「半島を出よ/村上龍」の下巻で、"You'd be so nice to come home to"のレコード(LP)がかかる場面があるのだが、常訳というか誤訳といわれる「帰ってくれたらうれしい」(本は図書館に返してしまったので、多少は違っていたかもしれない)という日本語を村上氏は充てている。
確か「恋はいつも未知なもの/村上龍」の中でも「帰ってくれたらうれしいわ」というタイトルになっていて、大橋巨泉氏があとがきで「あれは私の誤訳」と書いていたように記憶するので、村上氏もわかって書いているのだと思う。このタイトルが日本では常訳になってしまっているからそのまま使っているということだろう。
もうひとつ、ビルエバンストリオのLP(この場面のバーではCDではなくLPしかかけないということになっていたはず)がかかるのだが、"Someday My Prince Will Come"からやがて"My Foolish Heart"になって、スコットラファロのベースがどうとかいう描写があるのだが、そういうLPはないはずだ。途中でマスターがLPを変えたという可能性もあるが、文章からはそうは見えない・・・雰囲気としての村上氏の選曲ということだろう。
というようなことはどうでもいいツッコミだけれど、「半島を出よ」は少々長いのと、下巻がハリウッドのアクション映画のようになる辺りから上巻の緊迫感や恐怖感が薄れていくのが少々物足りないけれど、面白かった。
映画化の動きがあったらしいが、コケたのかどうなったのか不明だな、と思いつつ検索していたら、実は「宣戦布告」という映画が小説よりも3年前に撮られていて、内容が類似しているので、「半島を出よ」はそのパクリなのかインスパイアされたのか、という記事を見つけた。この映画を一度見てみたい。
映画は、北朝鮮のゲリラが日本海の島に潜伏したら、という内容ということだけれど、小説にもどこかの小さな島を占拠すれば簡単に日本政府は落とせるというような文が出てくる。村上氏は相当に綿密な調査をしているので、この映画も参考にしているだろうと思う。
ところでずっと以前に書いた"You'd be so nice to come home to"の記事はこのアクセスの少ない僕のBlogでは、トップページの一見さんを除けば、常にトップのアクセス数を維持している。未だにこの歌のタイトルに疑問や興味を持つ人が多いということだろう。
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