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2012/02/05

ゴヤ 光と影

最近のこのBlogの話題はFacebookつながりばかりで、おまえはFacebookオタクかと言われそうですが、週一回くらいは更新しようと思いつつも時間が思うように取れないので、ついついFacebookに転がっているお手軽なネタを拾って簡単にすませてしまいがち、特に音楽関係ならYouTubeなんかでごまかせるので、・・・、でもたまには他の話題を、ということで「ゴヤ展」です。

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Ts3p1078sゴヤ展自体は先月で終了していますが、1月25日に上野で仕事があってそれが3時半には終わったので、同じ上野にある西洋美術館で開催されていた「プラド美術館蔵 ゴヤ 光と影」を見てきました。

平日の夕方にかけての時間のためか、「ゴヤ!」という割には人が少なく、5時半の閉館までゆったりと見ることが出来ました。

目玉は「着衣のマハ」で1971年に「裸のマハ」とともに来日しているそうですが、そういえば大学に入ったばかりの時、クラスメートが大学生協に貼ってあったゴヤ展のチラシを見て蘊蓄を傾けていたのを覚えています。彼はゴヤは好きではなかったらしくけなしていましたが、理系にしては珍しく美術に詳しいんだな、と感心したことが印象に残っています。私自身はゴヤの名前は中学の美術で習ったかなという程度でしたし、その頃は美術館に絵を見に行くことなど全く興味はありませんでした。自分が将来、こうして美術館で熱心に絵をみる姿など想像もできませんでしたから、人間、変わるものです。

さて前回のゴヤ展のことは知りませんが、今回の展示では大半は着彩のない小さな素描や版画でした。油彩画もあるもののちょっと中途半端な感はありましたが、震災(余震)、原発(放射能・・・本来は放射線ですが)といった問題を抱えた今の日本にこれだけの作品が来るだけでも感謝すべきなのだろうと思います。

しかし平日とはいえ、会期末の25日にもかかわらず人が多くないのは、思ったほどの人気にはならなかったのかとの印象を受けました。大きな油彩画よりも、地味ともいえる素描や版画が大半を占めることからかと思いましたが、しかし美術館のサイトによると来館者は30万人を超えたようですから、僕の思いすごしなのでしょう。

まずは自画像、あまりPortrait_3大きい作品ではありませんが、一瞬、レンブラントを思い出しました。射すくめるような視線は人間の様々な面を見てきたことを伺わせます。

1:かくある私―ゴヤの自画像
2:創意と実践―タピスリー用原画における社会批判
3:嘘と無節操―女性のイメージ:〈サンルーカル素描帖〉から私室の絵画へ
4:戯画、夢、気まぐれ―〈ロス・カプリーチョス〉の構想段階における自由と自己検閲
5:ロバの衆:愚鈍な者たち―〈ロス・カプリーチョス〉における人間の愚行の諷刺
6:魔物の群れ―〈ロス・カプリーチョス〉における魔術と非合理
7:「国王夫妻以下、僕を知らない人はいない」―心理研究としての肖像画
8:悲惨な成り行き―悲劇への眼差し
9:不運なる祭典―〈闘牛技〉の批判的ヴィジョン
10:悪夢―〈素描帖C〉における狂気と無分別
11:信心と断罪―宗教画と教会批判
12:闇の中の正気―ナンセンスな世界の幻影
13:奇怪な寓話―〈ボルドー素描帖G〉における人間の迷妄と動物の夢
14:逸楽と暴力―〈ボルドー素描帖H〉における人間たるものの諸相
 (弐代目・青い日記帳より)

正直なところ、ゴヤの絵というのはもう一つよく分からないところがあります。

Pic_06 宮廷画家となる以前と思いますが、展示の最初の辺りにあるタペストリー用の原画として描かれた一連の絵は、そうした用途だからかどうかわかりませんが、ぬぺっとした着彩で、悪くはないですが、ゴヤ!というには少々期待はずれでした。

Pic_08
しかし宮廷画家となってからの肖像画はさすがに素晴らしいものがあります。それぞれの人柄を存分に表して余すところがありません。

20111023215805b12特に気に入ったのは、「スペイン王子フランシスコ・デ・パウラの肖像」でした。何故か下半身や腕が下塗りのみで仕上げていないのが不思議でしたが、これは「カルロス4世の家族」の下絵だそうです。下絵にもかかわらず王子としての気品と幼いながらも威厳が感じられました。

「着衣のマハ」は目玉ですから、特別に場所をとって展示してありました・・・、が、これも正直なところ、圧倒されるか魅惑されるかという期待とは裏腹に、何だか随分と普通な絵というのが第一印象です。確かに白い衣装、特に足にかけての描写は素晴らしいとは思うものの、顔の描写は随分と平板的であまり陰影のないのっぺりした表情は何だかアニメか何かのようです。ただ印象に残る絵ではありますが、これも有名だからという先入観があるからと言われると、そうなのかもしれません。

Pic_09さて、上に書いた作品展示タイトルをみると、何だか不思議なものやひねくれたものが多いのが分かりますが、その辺りがゴヤの真髄なのかもしれません。

2011102322021093ds素描や版画による、フランスによるスペイン侵攻の鬼気迫る描写や人間の表裏を風刺したようなロス・カプリーチョス(気まぐれ)などの作品群は、油彩画とは全く違った世界でした。

Goyalos_caprichosいつもは壁にある解説などはあまり読まないのですが、ゴヤはこうした解説つまり背景を知ると知らぬでは随分と見方が変わると思います。ただそうした背景は私がここで書くにはあまりに複雑で多様です。だから書きません、というか書けません。

0013840003mm_2一連の魔物か化け物かよく分からない絵からは、ルドンの不可思議な世界を思い起こしました。

0060400002mmルドンは「ゴヤ賛」というリトグラフを残している(右:西洋美術館蔵)ことから、影響を受けたことは確かだと思います。

まぁ、しかし一筋縄では全くいかない画家でありました。もっと書くこと、紹介すべき絵があるのですが、とても頭が回りませんので、ここで終わります。

2今回は閉館ぎりぎりまでゴヤ展を見ていたので、ここに来ればいつも会っていた彼女には残念ながら会うことはかないませんでした(マリー・ガブリエリ・カペ自画像:常設展示)。いつになるかわかりませんが、次回こそは会いに行きましょう。

閉館時間を過ぎた美術館を出て振替えると、お気に入りの王子が大きくTs3p1080s_2
貼り出されていました。やはりみんなのお気に入りなのでしょう。

Ts3p1079s_2
外に出ると、上野の空はもう暗くなっていました。

最後にもう一つのお気に入り「猫の喧嘩」、これも人間の内面の風刺なのでしょう。

20111023215838933s

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コメント

最終日一週間前の日曜日に行きました。さすがに日曜日は大混雑で、ゆっくり見ることができずあっさりと一時間もかけずに見終わりました。
こんな見方をしたのもあるのでしょうが、やはり私も少し物足りないという印象です。何年か前に同じ西美で開催されたプラド美術館にゴヤの黒い絵シリーズが何点か来ていました。私はあのシリーズが心にずしんと来るので好きなのです。そのあとにミルク売り少女も展示されていて、ゴヤだけでもかなり充実した展覧会でした。ベラスケスもムリーリョも、大満足で大変な展覧会だったなと思いだしているところです。
ゴヤは子供のころに朝日新聞の世界の美術を母が見せてくれていた第一巻の作家だったので個人的には思い入れがあり、怖いと思ってみていた版画が目の前に並んでいるのはなかなか感慨深いものでした。そういえば世界の美術第一巻後半はブレイクが載っていましたが、西美でもブレイクの版画展を同時開催しているのも面白いと思いました。

投稿: はにゃ | 2012/02/06 01:13

ボクは裸のマハ、着衣のマハ、ともにスペインのプラド美術館で観てきました。この2つの作品を直角に並べて展示してあったのが印象的でした。
ハナシはちょっと違いますが、プラド美術館はフラッシュ禁止ではありますが写真撮影はOKなのですね。なのでボクもこの2つのマハが入るような画角で写真を撮って来ました。

だいたいプラドに限らず外国ならどこの美術館でも写真撮影はOKのところが多いのですが、何故に日本に来ると写真撮影禁止なんでしょうかねえ。

今まで何度か、本国では撮影OKなのに、日本では同じ作品が写真撮影禁止というのに出会いました。これってフラッシュ禁止が守られないだろうから、という根拠なんでしょうかねえ、、、。ハナから観客を大人扱いしてないなと思ってしまいます。

投稿: たかけん | 2012/02/06 01:32

はにゃさん、ゴヤ展は、やはり人気があったんですね。私はゆったりと二時間見ることができたので幸運でした。
もの足りなさは私だけではなかったのですね。版画などはじっくり見ればもっと面白さが分かったと思いますが、数が多くてあまり余裕がありませんでした。
以前のプラド美術館展は確か「新日曜美術館」で取り上げられていたのをみた覚えがあります。TVで見ても迫力がありましたから、実物はさぞかしよかったでしょうね。「ミルク売りの少女」は画像でしか見たことはないですが、様々な修羅場をくぐってきたゴヤが最後にたどりついたような静謐な絵は画像でも素晴らしく感じます。一度は見てみたい作品の一つです。東京は本当によい展覧会が多くてうらやましいです。

たかけんさん、プラドで見られたんですね。
日本でも西洋美術館の常設展は撮影OKですが、むしろ珍しいですね。この常設展はすごく充実していますから、もし東京に行かれたらお勧めです。
海外でも常設ではない展示の場合は撮影禁止になるようで、以前にNYのメトロポリタンで特別展をみたときはその部分だけは撮影禁止でした。その美術館所蔵でないから版権の問題があるのかと思います。だから、海外から来た作品が日本で撮影禁止になるのはやむを得ないかもしれません。ただ美術館所蔵の作品は撮影OKにしてほしいですね。
一方でホイットニー美術館はNYですが、常設でも撮影禁止でした。

投稿: taki | 2012/02/06 23:36

版権ですか、なるほど、それは思いもつきませんでした。その絵画の所属がどこにあるかで違ってくる場合があるのですね、なるほどなるほど。勉強になりました。

投稿: たかけん | 2012/02/07 00:26

版権の問題もよく分からないですね。古い名画なんかは著作権はもともとないはずなんですが。
ただ、下記のような情報もあり、東京には撮影可のところがいくつかあるようです。必ずしも日本が厳しいわけでないようですが、東京以外の美術館で撮影可のところがあるのか不明ですが。やはり他から借用した展示は撮影不可みたいです。
http://d.hatena.ne.jp/kachifu/20080316/1199464451

ところでヴェネツィア旅行を考えられているのですか。ヴェネツィアは本当にいいですよ。私は年末年始にかけて行きましたが、大阪辺りと同じような気温で、それほど寒くはありませんでした。雨が多かったのがちょっと残念でしたが、それはそれでよかったし、最後の日に晴れた時は本当に美しかったです。
私は会社の冬休みに合わせて冬のツアーに参加しただけですが、旅慣れた人は、夏の観光シーズンは人が多すぎるし運河が臭うので冬の方がよいという人もいるようです。
http://taka-sumi.cocolog-nifty.com/taki_blog/2007/03/venezia_1982.html

ヴェネツィアについては、もしお読みでなかったら、塩野七生の「海の都の物語」をお勧めします。

投稿: taki | 2012/02/08 01:11

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