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2012/02/12

未亡人、攻防記

音楽ネタばかりだけれど、本もボチボチ読んでいる、といっても図書館で借りるばかりだけど。

Irving今読んでいるのは、ジョン・アーヴィングの「未亡人の一年(上)」、何ともいえない題名だけれどまだどこら辺が未亡人なのかよく分からない。

ジョン・アーヴィングの名は多分、「翻訳夜話/村上春樹、柴田元幸」に出てきたのだと思う。これまで読んだのは「第四の手」だけだ。

村上春樹、村上龍、塩野七生辺りから離れられない僕の狭い読書範囲で、村上春樹つながりから読んできたアメリカ文学も、図書館にあるもので興味を引きそうな本は大体は読んでしまったと思うのだけれど、ジョン・アーヴィングは「第四の手」しか読んでいなかった。

なぜかというと、図書館にあるアーヴィングの他の本がすべて上巻、下巻という長編ものばかりなので、ちょっとしんどいかなと思って避けていたのだけれど、読んでみようかという本が思いつかなくなってきたので、とうとう手に取ったということだ。

「第四の手」はずいぶん前に読んでいて、手の移植手術を受けた主人公がどうこうというくらいしか覚えていない。ちょっとネットで検索して多少思い出したけれど、まぁいいや、面倒くさい。

シリアスなところとドタバタした喜劇とが交錯するのがアーヴィングの特徴かと思う。「未亡人の一年」もそんな話で、どこが未亡人なのかまだ分からないけれど、一人の小説家の周りから始まって、やがて小説家が二人増えて、物語の中に彼らが描く物語が出てきたりした辺りを読んでいる。

そういうとポール・オースターの小説みたいだけれど、オースターとはまた物語の交錯の仕方が違う、・・・といってもなんか違うかな、という程度の感覚でしかないけれど。

やっと上巻を8割くらい読んだだけなので、これからどうなるのか分からないけれど、最初に児童小説作家を中心に周っていた話が、やがてその周辺人物に中心が移り、また別の人物が脇役から表に出てきて・・・、というような登場人物と時間の移り変わりが面白い。

話は1958年から始まるので、せいぜい60年代までの話で終始するのかと思っていると、いきなり1990年まで飛んでしまったりして、その時間の跳躍感も心地よいが、ここで物語中物語になったところが少々中だるみしたように感じて、若干読み進む速度が落ちてしまった。

まだ下巻があってこれからの物語の方が長いわけだから、一体どうなるのかと期待したいところだ。アーヴィングの作品の中でも絶賛された物語と裏表紙の裏の紹介にあるから期待外れにはならないとは思うけれど、多少不安がないでもない。が、それは長い小説を読み進むのが面倒臭くなっているという忍耐力の衰えがあるのかもしれない。

ところで三人目の小説家となるのは、一人目の小説家の娘なのだけれど、彼女は僕と近い年頃で、その価値観などに親近感を覚える、といっても同じというわけではなく、自分の世代が経てきた同じ時間を生きてきているという共通認識みたいなものだ。

アーヴィングが1942年生まれ、僕より10歳年上で、今のところ一応主人公といえそうな二人目の小説家と同い年になり、三人目は僕より2歳年下というところだ。

話は元に戻るけれど、物語の最初、1958年は、世の中がもっとシンプルでよき時代の雰囲気が感じられるけれど、その後、60年代から70年代にかけての価値観の転換が、いきなり1990年まで飛んで過去の話となってしまうのが、何だか自分の今の心境、これまで何やってきたんだろう、という過ぎてしまった時間感覚と重なって笑うしかない。

まぁ、何書いてるんだか分からなくなってきたけれど、しばらくはジョン・アーヴィングの本が続きそうだ。

Constantinople話は変わって、最近読んだ本は、塩野七生の三部作、「コンスタンティノープルの陥落」、「ロードス島攻防記」、「レパントの海戦」だ。

オスマントルコによる東ローマ帝国の滅亡から、最前線に残されたキリスト勢力のヨハネ騎士団の衰退によるトルコ帝国の隆盛、そしてそのトルコもやがて衰退へとつながるレパントの海戦、それは同時にヨーロッパの歴史が地中海から大航海へ移る時代までを、恐らくは史料の原典と現地を詳細に調査した上で、実に活き活きと描ききっている。戦争を描くことを主題としているとか、塩野氏は書いていたように思うけれど、人間の歴史は領土拡大とそれに伴う戦争とともにあったということを生々しく描いている。

かつて攻防を繰り返していた現代の先進国間ではこうした抗争は今はないが、しかしまだまだ世界には戦いが続いていることから、いかに人間が進歩していないかと思えて仕方がない。

何だか話題がずれてきてしまったので、ここでお終い。

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