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2012/05/27

芦屋市立美術博物館 - 芦屋川沿いの辺境・近境

阪神芦屋というと村上春樹が住んでいた最寄り駅として有名だし、芦屋川沿いの風景なんかが氏の小説やらエッセイやらなんやらに出てきたりする。

今読んでいる「辺境・近境」では、97年に震災後の西宮から三宮までを歩いたときのことを書いた「神戸まで歩く」が収録されているが、村上氏は西宮から歩いてきて様々な感慨を述べたあと、阪神芦屋駅にたどりついたところで「阪神・ヤクルト」のデーゲームのポスターをみてあっさりと気が変わり甲子園に逆戻りしてしまう。

River1_2芦屋川は両岸に地道の遊歩道があり、芝生とも雑草ともつかない草が生えて川岸を歩けるようになっている。前回に来たときはそのさらに外側にある舗装した歩道を歩いてずいぶんと疲れた思いをしたので、今日はこの草の道を歩いてみた。

柔らかい草地が足には心地よいが、結構でこぼこしていて必ずしも歩きやすいとはいえない。とはいえ舗装道路沿いの歩道を歩くよりはずっと気持ちがいい。川の東側には見事な松並木が整然と続いている。

Tennis小説「風の歌を聴け」に出てきたものと思われるテニスコートを過ぎると、小さな、しかし川沿いの松並木から続く立派な松が生えた公園を斜めに横切って左に曲がる。

Parkここはもう芦屋川の河口になるが、海側には埋立地に建つ住宅が続いている。

「辺境・近況」の中で、山を削り海を埋め立てて出来たかつて砂浜であったはずの住宅街を見て「その平和な風景の中には、暴力の残響のようなものが否定しがたくある」と村上氏が書いた住宅地はここからさらに東に続いて広がる。

この土地に特に思い入れなどない僕には、さぞかし高い住宅だろうとか、いや芦屋のお高い住宅はもっと山側だとか、しょうもない(村上流にいえば、しょうむない)ことしか思い浮かばなかった。

Bank美術館に向かう歩道の海側には、不自然なコンクリート壁が続き、壁の向こう側は舗装道路、住宅地と続いている。一方で山側の住宅は一段低くなっていることから、これがおそらくはかつての堤防だったと思われる。壁には古びた壁画が描かれていて、1990年5月と日付があったので、ちょうど22年前のものだ。22年もたって古びた絵はそれなりに周囲になじんているが、描かれた当初はずいぶんと鮮やかで景観とはそぐわなかったのではないかと思われた。

Museumそうして、やっと美術館にたどり着く。

美術館も堤防の歩道から階段を降りた、一段低い地面に建っている。

 - 続きはまた今度・・・

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芦屋美術博物館 - 阪急電車~阪神電車

火曜日のことだが、芦屋市立美術博物館に「吉原治良展」を見に行った。

芦屋の美術館は以前にも一度行ったことがあるけれど、阪神芦屋から歩いて20分くらいはかかる少々不便なところにある。以前行ったときは真夏の上に大阪国際美術館でのルノアール展その他とのはしごだったので、随分と疲れたが、今回は5月のよい気候で芦屋だけなので、意気軒高で駅から歩いて行った。

大阪にある会社からは阪急神戸線で西宮北口経由今津まで行き、そこから阪神に乗り換える。

今津線というと少し前にTVで放映していた「阪急電車 片道15分の奇跡」という映画で出てきたあの路線だ。以前は宝塚から今津まで通じていて、西宮北口で神戸線と線路が十字に交差しているという非常に珍しい線(平面軌道交差)だったけれど、神戸線が過密ダイヤになるにつれて、今津線との交差のせいで運行に支障をきたすようになり、西宮北口で一端途切れた路線になったのだそうだ。

Nishinomiya宝塚からきた線は北口の北側ホームで終点となり、そこで駅構内で神戸線を横切って南側にある今津行きのホームで乗り換えとなる(左写真は宝塚方向をみた高架駅構内)。だから映画では今津線といいながら今津という駅が出てこないという不可思議な話になる。阪急電鉄のサイトでも「映画の舞台今津線を知る」といいながら今津駅に至る南半分は紹介していないという不遇の半路線・・・、まぁどうでもいいことかもしれないけど。

映画はなんというか、少々ステレオタイプの話をくっつけた感じで、あんなことがからみ合って起これば、それは確かに奇跡でしょうねぇ。それなりに面白かったけど地元(というには少々はずれているけど)の話だから楽しめただけかもしれない。

とにかく僕が乗ったのは、映画にも出なかった不遇の路線の方で、今津駅で阪神電車に乗り換える。

阪神間というのは、大阪から神戸に近づくに連れて海と山が接近してうなぎの寝床と称される狭い土地だけれど、そこに山側(北側)から順に阪急、JR、阪神が並行して走っている。

学生の頃は、阪急はちょっと高級というかスノブな感じ、JR(国鉄)は普通(全国区)、阪神は庶民的といえば聞こえはいいけどちょっと薄汚い電車のイメージがあって、実際に乗った時もそんな気がしていたのだけど、最近、何度か乗ってみると、阪神電車ってのはなんともなげやりな倦怠感とかレトロ感が心地良く、なんとなく気が休まるようで、いいね。

Nishinomiyahanshin今のイメージは、阪急がスノブなのは相変わらずだが、一番コセコセしているのがJR、阪神はなんかのんびりした感じがする。駅も僕が乗り降りした範囲では昔の建物がそのままのところが多いみたいだし、阪神間の両端の梅田(大阪)と三宮では、三線が接近して収束するのだが、阪神だけはその両端のどちらの駅でも、ちょっとごめんなすって、という感じでそそくさと地下に潜ってしまうのがなんとなく奥ゆかしいというのか世間の目をはばかっているようなというのか。そういえば阪神の株買い占め問題が起こった時には、さっさと長年の宿敵である阪急に助けを求めて傘下に入ってしまうところなんか、潔いというか根性なしというか・・・本当はそんな簡単な話ではなかったのでしょうが。

僕は野球には興味がない方なんだけど、阪神電車に乗っていると、シーズン始めに勝ち続けている時、阪神ファンは狂気しながらもこんなことが続くわけがないと心のなかでは思っているに違いないという雰囲気がよく伝わってくる・・・、単なる僕の思い込みですが。

またどうでもいい話になってしまった。

左上の写真は阪神西宮駅、ここで先発の特急に乗り換えたけれど、阪神電車ではなく山陽電車だった。

山陽電車は昔から阪神梅田まで乗り入れてたのかな、よく覚えていない。阪急への乗り入れは阪急六甲駅までで、学生のころは駅で折り返し待機をしている山陽の車体をよく見かけた。

去年だったか、三宮で阪神に乗ったとき、奈良行きの特急があってちょっと驚いたのだけれど、今は近鉄とも相互乗り入れをしているのだね。

美術館にたどり着くのはまだ先の話、ということで休憩。

ちなみに「吉原治良展」は今日でお終いです。

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2012/05/21

金環食

今日は日本中がこの話題でもちきりでしょうが、なんだか東京では恐い事件もおこったようですね。

Eclipses僕は定例の早朝会議というのがあって、まったく家が遠いから朝早くに出かけなきゃならないし、会議になんか出たくはないのだけれど、今日は逆にそのためにちょうど日食の時間帯にJR大阪駅と阪急梅田駅の間をつなぐ陸橋を通ることになり、一瞬だけ、金環食ではなかったけれど日食を見ることができました。

陸橋の上でも、いっぱいというほどではないけれど、日食メガネを持った人たちが日食を待ちかまえていました。写真は陸橋を梅田駅に向かう途中、携帯で撮ったものです。この時は雲に隠れて見えませんでしたが、まわりがなんとなく薄暗いような明るいような不思議な光につつまれていました。

しかし、携帯をしまったあと一瞬、太陽の方をみたら、ちょうど雲が薄くなって、下側がかけたかなりリングに近い三日月形の日食が見えました。薄い雲が日食メガネの代わりをしてくれたわけで、ちょっとラッキーでした。時間は午前7時18分でした。

金環食になる時間帯は残念ながらちょうど駅構内の電車の中で出発を待っている時間だったようです。まぁ、どうせ日食メガネは持っていないので、見ることは出来ませんでしたけど。

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2012/05/20

うずまき猫の遠泳

「1Q84」第一巻を図書館に返したものの、第二巻は貸出中で借りることができない。やっぱり人気のある作品だからね。とりあえず予約だけはしておいたけど、いつになることやら。

連休前に借りていた本は未読もあるけれど、全部返却してしまった。というのも、このところ、「イビサ」とか「女たちの遠い夏(遠い山なみのひかり)」とか、わりと重たい小説が続いたし、借りていた他の本もシリアスそうな感じがしたのでとりあえず返却して、図書館のサイトで検索して見つけていた軽そうな本を借りてきた。どちらも村上春樹著だけど、どうやら紀行文らしく読みやすいだろうと思ったから。

「うずまき猫のみつけかた」
「辺境・近境」

1q84図書館の帰り、家内がショッピングセンターで買い物をしている間に読んでいるうちに、「うずまき猫」は1/3以上読んでしまった。おなじみ安西水丸氏のイラストと村上氏の奥さんによる写真が入った楽しい本だ。

今まで知らなかったんだけれど、村上氏はかなりの偏食みたいで、肉はほとんど食べず、菜食魚食主義者、特に中華料理はまったくだめなのだそうだ。

まったくといっても少しくらいなら我慢してと思うところだけれど、それこそ本当にまったくだめなのだそうで、ギョーザもだめ、「中華街どころかシューマイの匂いをかぐのが嫌で横浜駅を下りたくないというかなり重度のアレルギー」だそうで、ラーメンも食べたことがないそうだ、ちょっと信じがたいけど。

「ねじまき鳥のクロニクル」の取材で中国からモンゴルに行ったときの悲劇的体験記は他人ごとだから面白おかしく読めるけれど、ご本人は死ぬほどの思いだったのがよく伝わってくる。

「ねじまき鳥のクロニクル」にこんな裏話があったことを知っていたら、笑うような小説ではまったくないのに読みながら取材の様子を思い出してニヤニヤしてしまったかもしれない。まだ読んでいない人は、「うずまき猫」は後で読むことをお勧めします、いや本当の話、でもこのブログを読んでしまったら同じ事かもしれませんが。すみません。

ついでながら、「辺境・近境」もつまみ読みしたんだけれど、この中で瀬戸内海の無人島でキャンプする話がある。

水泳をしようと海に入ったらクラゲが出ていてあきらめた話があるんだけれど、そこに「高校生のとき、遠泳をやっていて、クラゲの群れの中に入ってしまったことがあって、その時は心臓が止まるかと思った。」という文がある。

Cat_swimming村上氏のマラソンは有名だから、高校の時に遠泳をするのもうなずける、さすがだ、と思う人もいるかもしれないが、いくら瀬戸内の阪神間で育ったからといって、1960年代の都会の高校生がわざわざ遠泳をするのは尋常ではないというか、普通の高校生はわざわざ自分から遠泳なんかしないだろう。村上氏が普通の高校生だったかどうかは別の話だが、これは多分、臨海学校の話だ。

今はなくなってしまったようだけど、当時は夏休みに入ると、一年生は強制的に淡路島に送られ、タコ部屋のような粗末な宿舎に放り込まれて、鬼の指導員である大学生の先輩に指揮、監視されて毎日水泳の特訓でしごかれる恐怖の臨海学校があったのだ。文武両道、質素剛健、粗末な食事、早朝から夕方まで昼食時以外は海から出ることを許されず、泣き言などいおうものなら岸壁から跳び膝蹴りで海に突き落とされる・・・、というのはもちろんウソだけど、一年生全員による淡路島の江井での臨海合宿があったのは事実。ただし一年生全員が一斉にするのは無理なので、4つくらいのグループに分けて順に合宿していた。

Awajiei江井には高校の臨海学舎があって、先輩方の「ありがたいご指導」のもとに毎日水泳の特訓をしたのは事実で、多くの生徒にとってはそれなりに恐怖の合宿だった。この臨海合宿を経ることで本当の文武両道、質素剛健の高校生精神が叩き込まれる、とかなんとか、ほんまかいな。(写真は検索で見つけた江井の様子、同窓生と思われる方のブログからいただきました)

一週間くらいだったのかもう少し短かったのか、あまりに昔過ぎて何日間の合宿だったのかすら忘れてしまったけれど、その締めくくりとして最終日に参加生徒全員による遠泳があったのです。

おそらくこんな合宿は村上氏の最も嫌うところだったのではないかと思いますが、どうでしょうか。

え、私はどうだったかですか?まぁ、私にとってはこんな合宿、お茶の子さいさい、屁の河童、平気の平左衛門でございましたよ、ははは(^^;;)。

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女たちの遠い夏 (A Pale View of Hills) 雑感

「1Q84/第一巻」を木曜日に読み終えたけれど図書館に行くのは日曜日なので、続いて1/3まで読んでいた「女たちの遠い夏/カズオ・イシグロ」を読んだ。(題名は後に原題に近い「遠い山なみのひかり」と改められたようだ)

偶然を符合と感じるかそのまま見過ごすかは自分の考え次第ということを以前に書いたような気がするけれども、これもまた偶然のなせる技かもしれない。

読む気のなかった「1Q84」に興味を持ったのは、英語Q&AサイトのQuoraでこんな質問があったからだ。

I've been reading 1Q84 and listening to the Wind-Up Bird Chronicle (both in English). There is something otherworldly about the style of his writing, but I can't quite put my finger on it. To make a comparison, I've heard people say that you can't fully "get" Pushkin unless you read him in his native Russian. I wonder if it's a similar story with Murakami. True, he doesn't write poetry, but the enigmatic nature of his prose makes me wonder if reading his work in its native Japanese adds an extra dimension of meaning that is lost when you read his work in English.

"put fingers on it"というイディオムは知らなかったけど感じはよく分かる。要するに英語で「1Q48」を読んでももう一つ良くわからないのだけれど、日本語で読んだら英語に訳されたことで失われたものがわかるんだろうか、という質問だ。

何人かからあった回答は概ね、日本語で読んだとしても背景にある文化や習慣がわかっていなければ同じだし、特に細かなニュアンスなどは日本人の間でもとらえ方が異なる、というようなところだ。

こうした回答は予想できたこととはいえ改めて考えてみると、原書で読む意味というのは何だろうかと思う。

僕が原書で読んだのは、「ハリーポッター」シリーズ、日本語訳本が絶版となっている「砂の惑星」の後半、「リングワールド」くらいなものなのでえらそうなことはいえないが、細かなニュアンスや文化的背景があまりよくわからないのに原書を読むよりは、そうしたことを考えぬいた翻訳者が訳したものを読む方がいいのかもしれないと思う。言葉のリズムや雰囲気などは原書と訳ではずいぶんと違うかもしれないが、全体としての文脈は変わりがないだろう。

「1Q84」についてはまだ一巻しか読んでいないからまたの機会にしたいと思うけれど、例えば、ある程度の年齢の人がこの本を読めば日本で起こった事件がベースにあることはすぐに分かるが、海外の人が読んだ場合、それに思い当たるかどうか。また「1Q84(ichi-kew-hachi-yon)」というタイトル自体が日本語の語呂合わせだから英語になったらそのままでは意味をなさないのは明らかだ。

ずいぶんと前置きが長くなってしまったが、海外でも話題になった作品をそんなことを考えながら読むとまたちょっと違った面白さがあるなぁ、などと思って「1Q84]を読んだ後に続けて読んだ、カズオ・イシグロの「女たちの遠い夏」は、日本生まれとはいえイギリスで育って日本語はほとんど話せない日系人の作者が、戦後の日本を主要な舞台にして英語で書いた小説を、日本人が日本語に訳したということだから、内容も知らずに借りた本にしてはこれはまたおかしな偶然、奇妙な符合だと思ったわけだ。

カズオ・イシグロは村上春樹が注目し新作が出れば必ず読む作家なのだそうだが、一般にはそれほど人気が高いわけではないようで、いつもの図書館には3冊しかない。残りの二冊は「夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」と「わたしを離さないで」だ。

「夜想曲集・・・」は楽しく読めたが、名作といわれる「わたしを離さないで」はいつまでも重苦しいことと、登場人物たちのそれぞれの意味がある程度推測できること(本当は違うかもしれないが)から、途中で投げ出してしまって読了していない。

「女たちの遠い夏」も決して明るい話ではないが、まだそれほどの重苦しさはない。

この本は会話が多いが、それらの会話を読んでいるとなんだか戦後の古い日本映画を観ているような気分になる。ある意味、不自然な会話だ。

戦後の映画をまともに観たことはないので、あくまで断片的な印象でしかないのだが、僕は勝手になんとなく芝居がかった、やけに丁寧な語り口があの頃の映画の特徴のように思っている。本の中の会話がまさにそんな感じだ。

そうした語り口は、当時の日本を表しているかというと決してそうではないという気がする。なんとなく東京近郊の、育ちのよい人たちの家庭かもしれないが、それ以外の日本の多くの地域とはずいぶんと違うものだと思う。

特にこの本の舞台は戦後の長崎である。長崎といえば村上龍の「長崎オランダ村」とか佐世保を舞台にした「69」の、地元の言葉をふんだんに使った小説を読んでしまった後では、これらの育ちのよさそうな丁寧な日本語の会話はどうしても素直には受け入れにくくなってしまう。

ただ、だからといって小説がつまらないとかそういうことではなくて、この本の持つ特殊性のようなものを強く意識してしまったということだ。

そのあたりのことは訳者である小野寺健氏のあとがきを読んでやっと納得できた。

もともとカズオ・イシグロという人は小津安二郎などの日本映画に強く影響されたのだそうである。そう思えば、断片的に観たことしかないけれど小津映画の印象そのままの会話であり、その意味では小野寺氏の訳は成功というべきなのかもしれない。小野寺氏は会話の部分で特に苦労されたたようだ。

舞台はあらかた日本であり、登場人物もニキ以外はそろって日本人と言ってもいいから、会話のニュアンスや微妙なかけひきもよく理解できるだけに、英語の表現はかなりくどく、日本語のそれが省略の多いのに改めて感嘆した。だが二か国語の相違につよい印象をうけ、細部までよく理解できたと思ったわりには、訳了してみると、予期したほどなめらかな行文にはならなかった。それは、訳者の日本語力を別にすれば、著者のイシグロ氏が五歳でイギリスに渡り、教育はすべてイギリスで受けて、ごくやさしい漫画程度のものを除くと日本語が読めないという事情と、無関係ではないだろう。
(訳者あとがき)

このことを承知した上で思い直してみれば、なるほどと納得したのだ。

ストーリーの背景はかなり省略されていて、読後にあれこれと考えさせられるところは村上春樹の小説と似ているかもしれないが、村上小説の持つ軽さとはまったく異なる重厚さがイシグロ小説の特徴かと思う。

一方で、もしこの小説を佐世保生まれの村上龍が訳していたら、一体どうなっていただろうと思って少々愉快な気がした。それをまた英語にしたなら一体どんな文章になるのだろうかと思うが、そればかりはとても予想できない。

戦後の女性たちの生き方の変化を主題としているといえる小説だが、小野寺氏もあとがきで指摘しているように、日本人から見るとその時代としても少々古い日本像だと思える。しかし淡々としながらも決して軽くはないストーリーは、じっくりと腰をすえて読んでみる価値はあると思う。僕は通勤電車とか医者の待ち時間とかでしか読んでいないから、うそ臭い感想かもしれないが。

「女たちの遠い夏」という題名は原題とは随分と違う。これはこれでよいと思うが、しかし「遠い山なみのひかり」という新しい題名で全体像を思い出してみると、前の題は内容と接近しすぎて直接的なのに比べて、新しい題名は一歩しりぞいた客観的視点から全体を見る立ち位置になって随分と印象は異なってくるので、やはり題名の影響は大きいと思う。

もう一つの符合・・・つまらないことだけれど、この本が出版されたのが1982年で、内容はその30年ほど前の1950年代初頭の日本が舞台であり、日本語訳が出版されたのが1984年、この本の前に読んだ「1Q84」は2009年から2010年にかけて出版され、30年には満たないがそれよりは過去である1984年を舞台にした小説だった。二巻、三巻の舞台がどの時代になるのかはまだ僕は知らない。

読書の感想は、読んで損はしない本でした、という以外はまとまった考えがないので書きません。だから今回のタイトルも「雑感」としました。

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2012/05/19

O Fortuna

一発もののネタ、かな。英語なのが残念かもしれないけど、あんまりバカバカしくておかしいのでご紹介。これもFacebookからですけどね。この曲、色んなところで使われているようで、僕もTVか何かで聞いたことがあります。なんか、こういうネタがいろいろあるみたいですね。

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2012/05/17

If I were a bellllll

16才の演奏だそうで、いや、まいっちゃうね。Vid Jamnk君、スロベニア出身だそうです。

左は名前忘れてしまったけど、アメリカのヴァイビストでグリップはStevens Gripだと思う。Vid君は、よくわからないけどFulcrum Gripみたいだ。ヴィブラフォンもなんだかハイテクっぽいデザインでメタリックブルーだね。映像は限定公開らしいけど、ゴキゲンなので紹介してしまいます。

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2012/05/13

Autumn Leaves, and so on

もうそろそろ初夏という季節のはずが、まるで秋のような涼しさ、というより夕方からは肌寒ささえ感じるこの頃、というわけでおなじみ「枯葉」をアコーデオン、サックス、ヴィブラフォンという珍しい組み合わせでどうぞ。ロシアのどこかでの公演みたいです(途中でノイズが入るのが残念)。

お気づきかどうか、バートン氏が使っているのはメタリックブルー鍵盤の4オクターブヴィブラフォンです。本体にあるStudio 49というのがメーカー名なのかな?しかし結局バートン氏には4オクターブは必要ないみたいですけどね。

さて、連休明けに届いた電子鍵盤楽器のMalletKATですが、まだ使い方がよくわからないながら、とりあえず当たり前ですが音は出ます。昔、色んな曲をMIDIファイルにした頃も実はあまりよくわからず使っていたんですが、これも当たり前ながら基本機能は同じみたいで、色んな種類の音がでます。

とりあえずヘッドフォンで音を聴きながら練習しているのですが、これもまた当たり前の話ながら、ヴィブラフォンの音は本物にはとても及びませんし、マレットの種類による音質の違いというのも出せません。マニュアルにも書いてありますが、ヴィブラフォンやマリンバの代替品ではなく、別の楽器と考えて使う心構えが必要ですね、といってどこまで機能を使いこなせるのか不安ではありますが。

鍵盤が小さく大きさが均一のために、本物のヴィブラフォンとのサイズ違いで弾きにくいかと思ってたんですが、意外とそうでもなく、逆に思い切って叩けるのでアタックのよい練習になるみたいです。これまでヴィブラフォンの練習時は近所に遠慮してあまり強く叩いていなかったのがよくわかりました。やはり思い切って叩く方が練習にも精神的にもいいですね。

次はなつかしのJeremy Steig、PICKS-CLICKSさんからLPを借りてテープに録音してよく聴いた曲、赤松さんがBlogで紹介されていました。70年代、学生時代を思い出しました。そのSteig氏が最近はPICKS-CLICKSさんの地元横浜辺りに出没しているらしいというのも奇縁です。しかし若いころに聴いた曲ってのはすぐに細部まで思い出してしまうほど記憶に残ってるもんですねぇ、まぁ、覚えていないことも多いですけど。

最後は、天地雅楽の曲に書道を組み合わせた、復興支援映像です。天地雅楽は書道とのコラボには縁があるそうですが、この映像はそれとは別に誰か知らない人が作ったものだそうです。各地の地名が美しい文字で書かれています。ただこのBlogの画面では右端が切れてしまうので、YouTubeに飛んで見た方がいいと思います(画面上のタイトル文字をクリック)。さて、どれだけ地名と場所がつながるでしょうか・・・地元の明石が出てくるのがちょっと嬉しい。

琵琶のカッティングに合わせたリズムで、字が飛び出すのがツボですね。 付点四分音符で太鼓と琵琶のカッティングが同期しているのですが、 メインメロディでなくその複合拍子を拾っているところがもう…。
(Facebookでの天地雅楽のコメント)

一緒にアップされている初音ミクの書道も見応えがあります。

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2012/05/12

村上読書

1Q84を読み始めた。まだ一巻の1/4くらい。

今頃になって読み始めたのは、話題の性描写にまたうんざりするかと思って避けていたということもあるし、人気作品で図書館でもいつも見かけなかったということもあるけれど、たまたま図書館で一巻があったのでとりあえず借りたのと、村上龍の「限りなく透明に近いブルー」と「イビサ」を続けて読んでしまったので、免疫ができたかとも思ってとか、でもまだ1/4では性描写は、ほぼないです。

では、なんで村上龍の本を二冊も続けて読んだかというと、実は三冊なのであって、それは面白いという評判だけ知っていてなかなか見かけなかった「69」が図書館の棚にあったのでそれを読んだら確かにめっぽう面白かったのと、小説の舞台は1969年で、学年は僕が一年下ではああるけれど、同い年(村上龍は早生まれ)の人間の同時代性を感じたので、そこで以前にちょっと読みかけながらドラッグやセックスの描写に嫌気がさして少し読みかけたところで放り出していたデビュー作の「限りなく透明に近いブルー」も読んでみようということになったところ、あ、これは1970年代前半の話なんだと思いながら読むと、多少は我慢しなきゃ進まないところもあるけれど、あの時代の現実感がじわじわとよみがえってきて最後まで読み終えたところで、あぁ、確かにこれは名作なのだろうな、と思ったりして、では何かもう一冊読んでみようとなんとなく手にとったのが「イビサ」で、これはまたドラッグ、セックス、バイオレンス満載のなんとも凄惨な話だけれどその割には暗くないこの人独特の世界があるが、同時に以前に読んだ最近作の「歌うクジラ」は「イビサ」の焼き直しじゃないかと読んでる途中で思ったりして、しかし「イビサ」では中位の厚さの文庫本一冊で書き終えている内容が、「歌うクジラ」では上下二巻にもなって冗長なところが出てきてしまっているのは作家の凝集エネルギーが衰えているのだろうかと思ったり、一方で「イビサ」は現実世界のなかでのドラッグやバイオレンスだから鬼気迫るものがあるけれど、「歌うクジラ」は架空の世界だし、ドラッグやセックスもなくなってバイオレンスも随分と抑えられているようで、そこまでは鬼気迫るものではないのは、村上龍も年取ったのかもしれないとか、まぁそんなことを思いながら、やっと「1Q84」を手にとったという次第。

「限りなく透明に近いブルー」はまだ僕が学生のときに話題になった作品だが、なんとなく題名がキザで出来過ぎな気がしてあえて読まず、代わりに同じ芥川賞になった三田誠広の「僕って何」を読んだらなんだかずいぶんと軟弱な小説だったので芥川賞ってあまり大したことないなんて思ったもんだからよけいに「限りなく透明に近いブルー」も読もうという気がおこらなかったわけだけれど、当時に読んでいたらどう感じただろう、しかし24歳でこういう本を書くというのだから、すごいことといえば言えるなと思いつつも、この年になって読むような本ではないかもしれないけれど、同じ時代を同じ年令で過ごした感覚を一歩離れた思いで振り返ってみるいい機会だったといえるかもしれないが、今の若い人にとってはもう過去のことで実感はないのだろうし、どう感じるんだろう、僕が明治や大正の小説を読むようなものかなとか思ったりしている内に、1Q84を手に取ることになったのだった。

しかし実は読んでいるのは村上ばかりではなくて、同時並行で、カズオ・イシグロの「女たちの遠い夏」とトルーマン・カポーティーの「夏の竪琴」も読みかけていて、かつジョン・アーヴィングの「ホテル・ニューハンプシャー」も借りていて、なおかつ「女たちの遠い夏」はもう1/3ほど読み進んでしまっているのだけれど、なんでそんなことになったかというと、ゴールデンウィーク明けは図書館が整理期間に入って休館になるために、通常2週間の貸出期間が3週間になって、なおかつ10冊まで借りられるという、まぁしかし10冊はいくらなんでも借りないけれど休み中にちょっとは読めるだろうと何冊か借りたのをつまみ食いならぬつまみ読みして、しかしゴールデンウィーク中はほとんど読み進まず未読のままで休み明けから読みだしたのものの、イシグロやカポーティーは予約待ちはないだろうけど、「1Q48」は人気がありそうだから先の読んだ方がよさそうと思いつつ結局先に読み終えたのは文庫本で電車の中でも読みやすい「イビサ」になってしまって、しかしこの本は電車の中では恥ずかしくて読みづらかったねぇ。

ここまで読んだ人はきっと我慢強い人でしょう、ありがとう。

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2012/05/10

MalletKAT 来た~

来た~、といってももう一昨日のことですが、MalletKATが来ました。予定通り。

Tracking_3注文が4月26日で、trackingを見ると、週明けの5月1日にコネティカットを出発して、2日にNew Ark発、Anchorage経由なのだね。

昔はヨーロッパ旅行はアンカレッジ経由が多くて空港は日本人観光客で賑わっていたけれど、かなり以前から北極周りなどのずっと早い便が普通になってすっかり寂れてしまい、貨物便だけになったというのは聞いていたけれど、MalletKATが経由してくるとは思わなかった。新婚旅行の帰路がアンカレッジ経由だったので(往路はモスクワ経由)ちょっと懐かしい。日本人観光客目当ての土産物屋には日系移民のおばちゃんたちがたくさんいて、免税品をさかんに売りつけていた。その後、彼女たちも職を失ってどうしたのだろう?うどん屋さんが結構、流行っていたな。発泡スチロールのどんぶりがちょっと興ざめだったけど。

次が、SENNAN-SHI、セナン?てどこよ?とよく考えたら泉南市だった。だから、関空に着いたのが3日だから随分と早い。ここで多分通関手続きに少々時間が取られたのか、SENNANを発ったのが6日、翌日7日に神戸須磨のFedexに入ってお昼すぎには提携運送業者の手にわたっている。だからひょっとすると7日のうちに来るかなと期待したんだけれど、予定通りの8日着だった。

思ったより、というか寸法はわかっていたはずだけれど実際に見ると大きいし、重い!

Kat2ちょうどTraveler Setというのが割引価格で載っていたのでそれをあまり深く考えずに注文したら、実はこれは1月2月の限定セットだったのがそのまま表示されていたとかで、その価格では買えなかったけれど、それでも定価よりは割引で購入できた。右はケース・カバーを開けたところ。

Traveler Setはキャスター付きの耐水性(水漏れなし)ハードケースとX-スタンドが付いていて、便利そうな気がしたんだけれど、ケースもそれなりに重くて、本体に拡張2オクターブを入れるとかなり重い。気軽に持ち運べる重量ではないが、持ち運びできないこともない、という微妙な重さだ。でも重い。だから、これは本当にツアーなどに使うケースで、気軽にGigに行くなら、ソフトケースにすべきだろうけど、本体はそれほど大きくはないし重さもそれほどではないから、適当な横長のソフトバッグをどこかで調達することにしよう。

Kat3実はまだ全然鳴らしていませんが、マレットでゴム製のバーは叩いてみました。結構跳ね返りがあって、これは慣れないと駄目だ。それにバーが全て同じ大きさで小さいため、これも慣れないと弾きにくい。左は、本体(MalletKAT Express=2オクターブ)と拡張2オクターブ(ケースの外に出ている方)。

一番の課題はゴムのバー、といっても少し発泡しているような弾力があって、マレットが結構跳ね返ってしまう。弾き方を変えないといけないようだ。まぁ、今度の週末までは音出しはお楽しみです。

ついでと言ってはなんだけれど、Facebookからお宝映像。マイルス・デイビスのワイト島でのコンサート、1970年。これって映像があったとは知らなかった。学生のとき、FMのエアチェックで録音したのだけれど、途中でテープがなくなって尻切れトンボになってしまっていたのだけれど、これで最後まで聴けた、というか尻切れのあとはすぐに終わってたのだった。今はもう大ベテランのKeith Jarrett、Chick Corea、Airto Mroreira、Jack DeJohnetteなど、みんな若いねぇ。なんせ42年前だから。

追加情報:サックスはGary Bartz、ベースがなんとDave Hollandだってぇ?確かにベースはなんだか聞いたことのある音だとは思っていたけれど、見た目は僕の知っているおっちゃん風Hollandとは随分とイメージが違って、まるで高校生みたいだ。

題名を聞かれて、"Call it anything."と答えたということだから、題名と言うよりは「なんとでも呼べ」という返事だろう。最初はどういう曲かわからないけれど、後半になると明らかにSpanish Keyになっているね。特に終わりの部分。しかし終了の仕方がすごい、こんなんでいいんかいな、さすが帝王だね。

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2012/05/03

The Record....the round black thing....

連休後半、関東では荒れ模様のようですが、こちら神戸の西端では昨日のうちに峠は超えて陽射しが少々暑く感じられるほどの穏やかな日和になっています。あ、ちょっと曇ってきたかな。

Fedex_2先日注文したMalletKATが5月1日に発送されたとのメールと、Fedexからのtrackingupdateが来ました。現在、On Scheduleでin transitとなっており、5月8日には到着する予定。ただし海外からの到着日付があてにならないことは、たかけんさんの日記(ボタンアコ/USPS)だけでなく、その後に見つけたMalletKATをオンラインで購入された方のBlogでも確認済みなので、まぁ、あまり信用はしてませんが、でも非常に"I'm EXCITED!"であります。

さて、Facebookには相変わらず面白い画像がいっぱいアップされるのですが、もう多すぎておっつかない状況です。いちいちDLしてたら非力なPCではHD容量も足りなくなるし。

そんな中から今回は少々つやっぽい画像をご紹介(^_^;;、

これはFacebookにある"Goodyear Custom Audio Video"というサイト(フォーラムかな?)のアルバムからですが、画像につけられたコメントも面白いので(英語ですが)勝手にご紹介します。

Wave_technology2I am not familiar with this technology?

it was pioneered by Bose,you remember..Wave technology?!!

Waterlily Acoustics?

How_to_handle_vinyl_2
Now an example to how to handle vinyl. You will notice that her fingers are not touching the surface of the record. Her fingers...........not touching the record........the record........... the round black thing........

what record?  record??

Good habit of listening LP ~ cool...

 

Recorf_changerI have been doing it all wrong all these years...

I think John is actually interested in getting one of these record changers.

I showed this to my wife. She waved at me but didn't use all of her fingers..........

 

つやっぽいのばかりではサイトの誤解を招きそうなので、普通(?)の画像もご紹介します。

Contrast_audio_2A study in contrast..................​. The marriage of drastically different technologies.

iTube?

PandoraThe first attempt to stream Pandora from the Internet to a portable device. Results were less than ideal.

Too much bandwidth?

Are those available at your store?

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