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2012/06/17

村上読書 その後

やっと「1Q84」の3巻目を図書館で借りることができた。

図書館では2週間借りることができるんだけれど、2週目で予約が入っていると延長できない。「1Q84」は人気作品だから必ず予約があるので、2週間以内に読まないといけないけど、大体は勤めの帰路の電車内でしか読まないので、結構厳しい。往路は大体寝てしまうからね。

1巻目を日曜日に借りて2週間で返した時に2巻目を予約して、それから2週間目の途中で図書館から連絡があり、ちょうど2週間目の日曜日に2巻を借りて2週間後に返却して3巻目を予約し、それから2週間目の途中で図書館から連絡があり、今日は土曜日だけれど借りてきて、ということでずいぶんと時間がかかってしまった。

その間には、村上春樹の「うずまき猫のみつけかた」、「辺境・近境」、「おおきなかぶ、、むずかしいアボカド(むらかみラヂヲ2)」、村上龍の「オーディション」と、あいかわらず村上読書が続いた。

「オーディション」は恋愛サイコミステリー調のちょっと恐い話で、出来のよいTVサスペンスドラマのような相変わらずの迫真の描写が素晴らしいけど、あとがきにあるような考えさせる話かというと、う~ん、どうだろう。

愛がなければ人間は凶暴になる、という意味のことを言ったのは、「エデンの東」のエリア・カザンだが、愛のない人間は凶暴にならなければ生きていけないという言い方もできるだろう。そして、現在のこの国では、国民全部が「凶暴」になってもおかしくない状況が続いている。
 (あとがき 村上龍)

「うずまき猫のみつけかた」と「おおきなかぶ、むずかしいアボカド」は村上春樹流お気楽なエッセイで、楽しい話もあるけれど、スノブな話もあり、お金と時間のあるCelebrityの自慢話みたいで鼻につく話もある。本当、この人のエッセイは「おまえがいうなよな」って思えるものが結構ありますね。まぁ、いいけど。

「辺境・近境」はお気楽な話もあるけれど、どちらかというとまじめな紀行文集で、特にドキュメンタリータッチの「メキシコ大旅行」と「ノモンハンの鉄の墓場」は、この二つの話のためだけでも本を買ってもいいかな、という気にさせる。もちろん震災後の「神戸を歩く」もあるけれど、これはどうしても地元民としての先入観が入ってしまう。

同じノモンハン取材について、「ねじまき猫のみつけかた」では面白おかしく書いているのに対し、「辺境・近境」ではノモンハン戦争とその後の現在の現地を正面からみつめた力作になっている。僕がまだ小さい子供の頃、実父が酔うとよく中国戦線での話をしていたことを何度も思い出した。村上龍は現在の日本は国民全体が凶暴になってもおかしくないと書いているが、あの時代はそんなものではなかったに違いない。子供心ながらに記憶している戦中の話が「ノモンハンの鉄の墓場」によって蘇るとともにさらに骨肉を与えられて、なんだかんだ言っても今は相変わらず平和な時代なのだと痛切に感じた。「オーディション」のサイコ的凶暴性は所詮は個人レベルの凶暴性であり、それが本当に今の日本で全体主義にまで発展するとは考えられないが、ノモンハンの時代は、国家レベルの凶暴性が当然視された時代だったのだろう。

何だかずいぶんと真面目な話になってしまった。村上春樹はドキュメンタリー作家としても一流になれるんではないかな。しかし旅行のすきなひとですね。大変な目にもあっているんだろうけど、お金も時間もあるし妬ましいとしかいいようがない。

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