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2013/02/24

螺旋

時間がないといいつつ、本は読んでいる。

Rasenキャンバス」、「私の中の遠い夏」と欧州系に続いて、パハーレスのデビュー作「螺旋」を何とか読み終えた。

確かに「キャンバス」よりも面白いと思う。出だしはかなり主題とは関係ない話がダラダラと続くが、それでも飽きずに読み進めるのはやはり作家の力量だと思う。少なくともハリーポッターのあの出だしの延々と続く暗いストーリーよりは、はるかに読みやすい。

ミステリーとしては「キャンバス」と同様にそれほどでもないかもしれないが、僕はミステリー愛好家でもないから、それは別に気にしない。

これも「キャンバス」と同じように、主人公はどちらかというと狂言回しで、ミステリー仕立てのストーリーもあくまで道具であり、その周りに現れる様々な登場人物の人間模様が描かれるところが、この作家の面白さだと思う。

そういう意味ではこの作品を書いたのが、25歳以前というのにはびっくりするが、作家というのはそういうものなんだろう、というしかない。まぁ、「プロメテウス」の科学者顔負けな主人公の軽率な行動にはちょっと鼻白むところもあるけどね。

キャンバスにしろ螺旋にしろ、とても面白く読み進めるけれど、同時に結構考えさせるところもあったりする・・・、が、どちらかというと娯楽性が強い作品で、深く掘り下げる小説は期待しない方がよいかもしれない。

この二作品の間に「半身」という作品があるらしいけれど、残念ながら訳本は出ていないようだ。

しかし驚いたのは、スペインにおける麻薬の常在性だ。法的にはどうだか知らないが、麻薬常習者そのものは物語の中では犯罪者とみなされず逮捕されたりすることがない。

マドリードにも麻薬常習者や犯罪者のスラム街があり、その近くではエイズなどの病気に感染するのを防ぐために麻薬常習者に無料で新品の注射針を配ったり、更生させるために禁断症状を緩和するためのメタドンを無料で配ったりする団体が活動していたりと、スペインといえば、闘牛とかピカソ、観光といった面しか知らない僕には考えにくい現実があるようだ。パハーレス自身も注射針を配るメタバスに乗り込んで3ヶ月も情報収集をしたそうだから、描かれている内容は絵空事ではないのだ。

以前に読んだジョン・アービングの「未亡人の一年」でもオランダの売春街が克明に描かれていて、その実情にかなり驚いたが、表と裏、日本にも僕の知らない面は多々あるのだろうと想像するしかない。

パハーレスが影響を受けた作家は、ポール・オースター、その他(僕は知らない作家ばかり)のアメリカの作家だそうで、最近は村上春樹や吉本ばななも読んでいるそうだから、そういう作家が好きな人にはお勧めかと思う。

これ以外にも、「石の花―ロシア・ウラル地方に伝わるおはなし/パーヴェル バジョフ (著)」と、「エルメス/竹宮恵子(著)」、これは家内が借りた本を又借りで読んだもの、それから「古往今来/司馬遼太郎(著)」を読んだ。

エルメスはあのエルメスの歴史を漫画で描いたものだが、驚くのはエルメス本社から漫画で社史を描いてほしいと依頼があったのだそうだ。ルーブルでも荒木飛呂彦の企画展があったとか聞くし、フランスでは漫画の評価はかなり高いのだね。

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