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2016/12/14

予定調和型 Desafinado

Desafinadoは1962年にStan GetzとCharlie Byrdの演奏が大ヒットしてボサノヴァがブレイクしたという話は実は最近まで僕は知らなかったのだが、それがこのJazz Sambaというアルバムの最初に入っている。

 

 

僕も学生のときにこのLPが安かったんで買ったんだけど、ステレオじゃなくてモノラルLPだった。どうりで安いはずだ(^_^;)。

当時の輸入盤はステレオとモノラルがあって、安いからと買ってしまうとモノラルということがあった。Astrud GilbertoがGil Evansのアレンジで歌っているアルバムもだまされて買ってしまったが、ステレオに慣れた耳にはモノラル盤は物足りなくて、どちらのLPも結局ほとんど聴かなかった。

よく聴いたDesafinadoはPICKS-CLICKSさんから借りたLPに入っていた、かの"Getz/Gilberto"収録のJoão Gilbertoの歌とJobimのインスト版LPだった。

話が脇道にそれてしまったが、実はこの流行したバージョンはメロディーもコードもオリジナルとは違うのだが、今はこ1962年のGetz/Byrdバージョンが流布しているらしくオリジナルを知らない人の方がどうも多いらしい。

これがオリジナルのメロディーだが、違いがわかるだろうか。

Desafinadoとは「音痴」とか「調子外れ」という意味で歌詞の内容がそういうものだというのはよく知られているらしいけど、僕にはポルトガル語の歌詞なんてわかるわけがないし、このメロディーばかり聴いていたので、あちこちに仕掛けがあって調子外れに作られているこのメロディーが面白くて好きだった。

以来数十年、ここ数年は音楽活動が活発になってこの曲も3年前の高砂万灯祭でヴォーカルのバックを務めたことと、今年はライブで演奏を聴く機会があったんだけど、どちらも、あれ、こんなんだったかなと思ったのだ。

分かりやすいのは、スペインのAndrea Motisの歌だろう。若い彼女の歌は底抜けに明るいが、それは若くてかわいい女の子(^^)だからというだけでなく、メロディーもコードも明るくなっているからだ。

どこがどう違うかはあえて書かないので、どうぞご自分で判断してください。最初の"Getz/Byrd"と同じバージョンだ。

時代的にみると、アメリカでは1962年に"Getz/Byrd"が流行った後の1964年にブラジルからJoanとJobimを迎えて"Getz/Gilberto"が吹き込まれたわけで、だからGez/Byrdバージョンが先に普及した可能性があるかもしれないが、Getzもその後はオリジナルバージョンを吹いていたという証拠がこちらのBBCの映像。かなりフェイクしてるけど。

1966年、Gary Burtonが加わったGetz Quartetの貴重な演奏で、これは50分くらいあるライブ映像の一部のはず。

ついでながら、こんな映像も見つけた。

JobimとJoe Henderson、ギターがPat Methenyという豪華版。さすがにオリジナルチューンでバースも入っているし、メロディーを忠実に吹いてくれていてこれも貴重な音源だ。このバースがあるというのも意外と知られていないと思う。これはお勧め音源です。

GetzとByrdがなぜメロディーとコードを変えたのかは分からないが、まぁ、その方がアメリカ人に受けるのは確かだろう。だから大ヒットしたんだろうね。僕はこのアメリカ版(Getz/Byrdバージョン)を密かに「予定調和型Desafinado」と呼んでいる(^^)。

さて、歌の場合はDesafinadoの意味を説明してから歌うことがあるみたいだけど、YouTubeで見つけたこの方もメロディーは調和型だ。

せっかくポルトガル語で歌うんだから是非ともオリジナルバージョンで歌ってほしいところだね。

最後に僕が一番よく聴いたJobimのピアノ。

このアルバムタイトル"The Composer of Desafinado, Plays"の意味が今ひとつわからなかったけど、それは1962年の大ヒットがあったからなんだね、というのと”Getz/Gilberto"よりこちらの方が一年早いんだというのも今頃になってやっと知ったという(^_^;)。

ついでながら、Justin Bieberと双璧をなすともいわれるらしい、Kenny Gのバージョンはブリッジ部分が4小節省略されているというトンデモな演奏なんだけど、これも結構普及しているらしいというのが、こちらに書いてあった(英語です)。

What's with Desafinado

この筆者はコード、メロディーの違い、そしてブリッジの省略形と色々あることを書いてるけど、そういうことを書いているのはここ以外には見つからなかった。

でもこちらに書いてあるコードもちょっと違うんじゃないかしらん、確かめてないけど。

件のKenny Gの演奏、特にお勧めしませんけど(^_^;)。

実は"Getz/Gilberto"をオリジナルとすると、今は違うコードになっているのはDesafinadoだけでなく、Garota de IpanemaもO Grande Amorもそうで、イパネマについては赤松さんがBlogに書かれています。

追記:Kenny Gの4小節足りないバージョンは、なんとReal Book(ネットによく転がっている)の古い版に載っていた。最近のものはどうなってるんだろう?

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コメント

違いはよく分からないんですが、Getz/Burtonのベースはスティーブ・スワローじゃないですかね?

投稿: PicksClicks | 2016/12/16 22:04

スティーブ・スワロウにロイ・ヘインズで、Dusterメンバーですね。

Desafinadoのバージョン違いは意外とわからないんですね。知り合いの耳がいいはずの方も音源示して「半音ずれてます」といってもわからなかったみたいでした。

間違いさがしみたいですね。

場所を下に書いときますが、できればまず探してみてください。ジョアンの歌に慣れていたら、Andrea Motisの歌に違和感を感じる所があるはずですよ。MotisのメロディーはDesafinadoになってないです。

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A、A'のところでも微妙に違いますけど、一番の違いはサビに入る前の4小節とサビの4~8小節です。当然、コードも違ってきます。

投稿: taki | 2016/12/16 23:44

P.S.
お悩み手帖の昔の記事、「Joaoのバチーダに悩む」にコメント書いたのでみてください。

投稿: taki | 2016/12/17 09:04

「Joaoのバチーダに悩む」へのコメントをありがとうございます。コメントをいただいたことは金曜日に知っていたのですが、引用先の文章が長くてなかなか最後まで読めませんでした。

アストラッドのインタビューは嘘じゃないんだろうけど、「英語の発音を何度も修正された」という話がないのがなぜなんだろうと思いました。

投稿: PicksClicks | 2016/12/19 00:04

大昔の話だし、それぞれにみな自分が正しいと思ってるでしょうから、どれがどれかはわかりませんね。

記憶は上書きされるという話を最近知りました。自分でそうだと思いこむと事実と違っていても記憶が上書きされてしまうこともあるそうです。聞く方も好きなように解釈しといたらいいかと(^_^;)。

投稿: taki | 2016/12/19 08:56

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