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2018/07/29

最近の読書事情 2018年7月

暑い、あち~、で更新する気も起きないが、今日は今朝方の台風一過でちょっとましかな。

ということで、最近の読書のことでも書いておこう。

直近で読んだのは次の3冊、女性作家。

モダン/原田マハ
ジヴェルニーの食卓/原田マハ

以前から課題(^_^;)だった、たまには軽い読み物を、というので選んだ原田マハの短編集。

「モダン」はNY近代美術館に関連した短編集、「ジヴェルニーの食卓」は印象派画家に関連した短編集。

いずれもいわゆる「よい話的」な要素が多いが、なかなかとよかった。短編のほうがこの人には似合ってるのかもしれない。長編になると色々とアラが目立つような、というほど読んでないけど、短編だとそういう間もなく終わるからかな。

もう図書館に返してしまったんで、短編の題名もろくに覚えてないけど、いずれにしろ作家の美術に対する造詣の深さと愛情がいっぱいなのはよく伝わってきた。

職歴からこういう話のネタには事欠かないんじゃないかと思うが、MOMAにいたということもあるだろうけど、とにかく印象派以後の美術を題材にしたものが多いね。

まぁ、あくまでフィクションとして読むべきなんだろうけど、メアリー・カサットやらモネやらマティスやらの生活やら考えはこんなんだったのか、と思わせながらのストーリーは美術好きには楽しめる・・・、たまらない、とまではいわないけどね。

大人のラノベというよりは少々レベルアップで、見直した感じ?

Fh020006

この写真は1992年のアメリカ出張のときに訪れたMOMAにある壁一面のモネの睡蓮。これと対になっているオランジェリー美術館にある壁一面の睡蓮も、97年のヨーロッパ出張時に見たのがちょいと自慢(^_^)で、オランジェリーの睡蓮が「ジヴェルニーの食卓」の題材にもなっている。

続いて、

漁師の愛人/森絵都

全然知らない作家だったけど、図書館のダブル村上のあたりをウロウロしていて、奇抜なタイトルが目について手にしてみた本。

これも短編集で、最初の短編2つは図書館で読んでしまった。

これはまだ手元にあるので、題名を書いておこう。

少年とプリン
老人とアイロン
あの日以降
ア・ラ・モード
漁師の愛人

「あの日以降」と「漁師の愛人」が長め、あとはごく短い話で、短い方はわりと他愛のないというか、作家なら誰でも書けそうなありがちな話だが、長めの二編はかなりクラクラした。

「あの日以降」は東北大震災に関連した話で、上記の「モダン」収録の同じ震災を題材にした「中断された展覧会の記憶」と好対照。ついでにといっては失礼だけど、原田マハの短編集には9.11を扱ったものもある。

少なくとも森絵都は、この二編を読む限りでは動物的女臭さが芬芬としている。

俗ないい方だけど、原田マハはエンタメ(大人のラノベ)、以前に読んだ佐藤亜紀は鋭利な刃物、って全然比較になっとらんけど、対して森絵都は鈍器でグリグリとねじ込んで来るような感覚だ。

先の二人はちょうど塩野七生と同じように、文献、史書などの詳細な資料から話を組み上げるタイプ(たぶん)なのに対し、森絵都はそういうのではない、いってみれば普通に創作した小説というのも対照的だ。

森絵都の二編を読んでいて、学生のときの軽音の同期で理学部生物学科にいた友人の卒論の話を思い出した。

卒論のテーマは確か「ショウジョウバエの処女生殖」というので、ショウジョウバエのメスの卵子(メスに決まっとるな)になんかしらんけど操作をすると分裂して子供が出来るが、その場合は理論的にはメスしか生まれないはず、だが、実際にはオスもたまに生まれる、ってな話だった。

ついでに同じ頃に読んだ「処女惑星/ポール・アンダーソン」も思い出した。

これは難破した宇宙船で女性しか生き残らなかったために、たどりついた惑星で処女生殖により命をつないでいったことから、女性しかいない惑星となった、ところにある日、男が一人だけ乗った宇宙船が難破してきて大騒ぎ、結構ナンパな話だったような記憶がある(^_^;)。

前記の友人の卒論をそのまま当てはめると「処女惑星」にはならないことになるけど、実際のところどうなんだろうね。

まぁ、それだけ森絵都の小説に、女性の生物的な強さと、男なんかつけたしよ、ってのを突きつけられたようで、そんなことを思い出したのだ。

いつもの図書館には佐藤亜紀は3冊しかなくてもう読んでしまったけど、森絵都はもっとあるので、しばらくは追いかけてみようかと思う。

もう一冊、今読みかけてるのが、これも適当に書棚からとってみた「まぼろしの王都/エミーリ・ロサーレス/訳-木村裕美」で、スペインの作家だ。日米以外の国の小説でなにかないやろかと思ってとってみた本。

まだ読み始めたばかりだけど、導入部は結構面白い。どうやら現代のスペインで育った男の生まれ故郷にある、カルロス三世時代の作りかけで放棄された廃墟を巡って、過去と現代をいったりきたり、かな~?

Charles_iii_of_spain

これはWikiにあったカルロス三世の肖像画。

去年のマルタ旅行から、塩野七生の地中海や十字軍関連本の読書に続いて、カルロス三世は18世紀、ナポリ王からスペイン王になったとか、なんとなくつながりがあって面白そうな気がする。

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コメント

こんにちは。「ジヴェルニーの食卓」はずいぶん以前に、拙ブログで、「タンギー爺さん」に出てくる絵の具の(入れ物の)発達について詳しいコメントを頂いたような覚えがあります。

マハさんは「楽園のキャンヴァス」で大きく成長され、この短編集でますますよくなった印象を受けたのですが、それ以後手癖で書いてしまっているような作品が多くなり、あまり興味がわかなくなってしまいました。この作品のマティスの短編が彼女の作品の中で一番好きかもしれません。

投稿: ゆうけい | 2018/07/30 10:28

ゆうけいさん、コメントをありがとうございます。

そうえいば絵の具の入れ物についてウンチクを垂れたような気がします。読んでいるときも容器の歴史を思い出してました。その世界からはもうすっかり離れてしまいましたが。

マティスは「うつくしい墓」ですね。語り口がちょっとべったりして馴染めないところがありましたが、後半はぐっとよくなりますね。私は「ジヴェルニーの食卓」のモネの家族のつながりがよかったです。

投稿: taki | 2018/07/30 13:47

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