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2019/01/22

A Song is Born - Jazz & Latin America

Swing関連でダラダラとYouTube検索して偶然見つけたのが、今回のタイトル映画「A Song is Born(Danny Kaye主演、1948年)」の1シーン、浜崎あゆみの歌に同名の曲があるらしいけどそれは知らない。

今や伝説のプレイヤー達が出演(一部は代役らしい)してるけど、それよりDanny Kaye扮する教授が朗読するのが、"The History of Jazz"というんで聞き取ってみたら、意外や意外な話だったんだな(YouTubeの再生速度を落としても聞き取れないところとか、わからないところがあったけどね)。

The History of Jazz
From Africa came the first musical instrument, a drum.
A hollow trunk of a tree or ?(tore of) animal hide supplied the rhythm of beat.
To the basic rhythm was added the human voice.
(Next) the first wind instrument, the shepherd's flute.
The basic beat of the tom tom, the same (semantic) strain of the chant that was carried across oceans (which) contained an early Spanish music after the invention of the guitar.
Spread the country was the shared Spanish language, Cuba, Western India, and South America were the rhythm of beat (the) soon the new form of expression.
There's the winding cycle finally reached the shores of the southern United States where the beat was momentarily lost.
But the melody was woven at the pure negro spirit.
And the beat returned.

映画"A Song is Born"は恋愛ミュージカルだし、1948年の映画だからこのジャズ史もどうなんだと思ってしまうんだけど、ジャズは、アフリカのリズムにスペインのギターから中南米を介して合衆国南部の海岸にたどり着いて、それから黒人が・・・、なんてのは聞いたことないですよね?僕が知らんだけかな。

シンプルなジャズ史は、フランスやスペインの統治だったニューオリンズで生まれたってのが通説で、そこに中南米は出てこないと思う。出てくるにしても、ジャズがある程度形になってからそのスタイルを取り入れたみたいな話ではないかな。

ジャズ史がアカデミックに研究されてくるのは、1950年代以後の公民権運動とリンクして黒人のアフリカンルーツ意識の芽生えと文化人類学の研究が白人-黒人の対立/共存的な文脈で語られ出してからだそうだが(ちょっといい加減な要約かも)、この映画は1948年だからそれより以前の話だ。

実はこんな話は「アメリカ音楽史/大和田俊之(講談社)」にいっぱい書いてあって、それは近年のアメリカにおけるヒスパニック(ラティーノ)系人口の急増により、ジャズを含むアメリカ音楽史も従来の黒人/白人の図式ではなく、南北アメリカの視点から大幅に書き換えられてくる可能性があると書いてある。つまり最近の研究の傾向であって1948年頃の話ではない、ってことだけど、実はこういう意見がすでにあったんだ!って驚いたのだ。

というところで、前回の最後に書いていた、ダンスとアメリカ音楽とハバネラの関係につながるのであります。

ハバネラWikipedia日本語版

イギリスあたりのCountry Danceがフランスの宮廷に入ってContradanseとなり、それがフランス領ハイチを経由してキューバに渡ってハバネラ(Contradanza)となり、それはまたスペインに逆輸入されて数々のハバネラの曲が作られる。

英語版WikiではContradanzaがタイトルで、「Habaneraともいう」と書いてある。

Habanera

Wiki英語版にあったHabaneraのリズム、上が基本で下はヘミオラと書いてあった。

もととなるEnglish Country Danceで、ご覧の通り、例の12/8拍子だ。なんとルネサンス期からあるという話だ。

そしてフランスに渡って宮廷のContredanseとなる。これも12/8拍子だ。これがキューバに渡ってハバネラになるんだそうだが、このつながりは今ひとつわからない。

いずれにしろ、どちらも以前から書いていたIrishのJigとかなんとかと同じ12/8拍子系なんだよね。

で、前回書いてたハバネラが合衆国アメリカに渡ってジャズやカントリーに取り入れられ、そしてプレスリーのロックになる、というのは実は以前からよく指摘されていた話だそうだ(アメリカ音楽史)。

こういう話とは別に、ジャズのSwing時代というのがあるけど、その同時期にWestern Swingというのがカントリー音楽で起こっているとかで、色んな話が錯綜していてまとまらないけど、ジャズは黒人の音楽というのは公民権運動などの黒人意識の高まりとリンクしたステレオタイプ的な発想で、実際には合衆国の黒人&白人にさらに中南米、スペイン、ロマとか非常に複雑に絡み合って出来ている、というのが最近の実感、っていっても多分に「アメリカ音楽史」の影響だけどね。

ベニーグッドマン楽団とほぼ同時期に結成されたのがこのBob Wills & his Texas Playboysだそうだが、Swing時代の立役者、あるいはそれ以前もジャズ黎明期には白人プレイヤーがとても多いんだな、ってのも最近の実感。

もう長くなったんで、さらにまとまらない話だけど、イギリスの作家Charles Dickensは1842年に渡米して「アメリカ紀行(上、下)/訳者略(岩波文庫)」を書いてるんだけど、その中で、ニューヨークのファイヴ・ポインツにあるアルマックスという場末のダンスホールに行ったことが書いてあって、混血のダンサーがシングルシャッフル、ダブルシャッフル、カットとクロスカットというダンスを踊るとある。伴奏は黒人のヴァイオリンとタンバリン。

これがIrish Shuffleだがまたしても12/8拍子で、これがNYのFive Pointsでタップダンスになることは容易に想像できる。

ついでにイーブン系4拍子(たぶん)のダンス。

これを出したのは、上の方のイギリスやフランスのダンスを見てもわかるけど、基本ステップにいわゆる「スキップ」があるということだ。「タラッタラッタラッタ、うさぎのダンス~」で、日本人にもなじみやすいリズムじゃないかしらん。

つまりこのスキップのステップが3連系の音楽とともにアメリカのダンス、そしてSwingになっていったんじゃないかというのが今の僕の想像であります。

というところで、今日はおしまいなんだけど、「中南米の音楽/石橋純(東京堂出版)」には、中南米の音楽の起源の中にイベリア半島にある「型と即興」というのがあって、これは単純な循環コードの型みたいなのがあって、テーマを繰り返しつつ、それに基づいて各演奏者が即興演奏をする作法が16世紀スペインで起こってヨーロッパ中に広まって、それが中南米に行ったという、つまりはこれはジャズのセッションと変わりがない!ってな話がそんな昔からあったわけで、またまたびっくりと、どこまで行くのやら(^_^;)。

では終わりのおまけで、A Song is Bornの映画全編がこちらにあった、っていっても全然見てないけど。

そのうち削除されるかもしれないけど、最初に出てくる、おなじみのライオン、Metro Goldwyn Mayerは超有名だけど、Gary Burtonの二人目の奥さん、実はBerkleeでの生徒だったんだけど、この創業者Samuel Goldwynの孫娘だったそうな(Gary Burton自伝より)。

翌日訂正:動画を全然みてなくて、たかけんさんのコメントからロシア語らしき解説が入っていて台詞がほとんど聞き取れないことがわかったので検索しなおしたんですが、英語版はあったものの音声がおかしくてとても見れたものではありませんでした。そのかわり映画の紹介動画があったのでアップしておきます、英語ですが(^_^;)。

※その後、英語完全版を見つけたので記事にしています。興味のある方はこちらをどうぞ。

 A Song is Born - Movie 英語完全版

スペイン語吹替え版はロシア語版よりはまだましかな。

最初にアップしたロシア語解説がうるさいバージョン。

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コメント

会話部分はスパシィーバ、とダスビダーニャしか分かりませんが(^_^;)、有名どころが出てくる音楽部分は面白く聴けています。いまのところ半分までですが。
しかしそれにしてもダニーケイやBグッドマンの学者たちがジャズに目覚めていく?過程で出てくるRebopっていうのは後のBebopと同じことなのかな?ひょっとして当時はRebopと発音していた?
あとHoney Swansonとして出てくる女性シンガーの歌い方が良かったです。なにしろ最近メキメキと増えているナンチャッテジャズシンガーのライブ現場で思うのですが、白人歌手由来のアクセントの置き方やビブラート、強弱、などまったく無縁の方々が多くてちょっとは白人女性ジャズシンガーを聴いたら?とコボしたくなってしまいます。これには英語の素養というのも関係あるのかな。

ちょっと気になったので調べたらHoney Swansonを演じたのはVirginia Mayoという女優さんだったので実際の歌は影武者がいたようですね。誰だったのかなあ?

投稿: たかけん | 2019/01/24 20:49

映画は全然みてなかったんですが、なんかうるさい解説みたいなのが入ってるんですね。失礼しました。

英語ですが映画紹介動画があったので、差し替えました、といってもまだ最初の辺りしか見てないですが。

スペイン語吹替えもあったんでアップしてます。

Rebopは初期の言葉みたいでBebopと同義だそうです。

https://www.urbandictionary.com/define.php?term=rebop

Virginia Mayoは調べたら、子供の頃からダンスや演劇を習ってブロードウェイのミュージカルにも出てたそうですから、自分で歌ってるのではないでしょうか。

ナンチャッテジャズシンガー、いらっしゃいますね。ジャズというよりは声楽家な方とか、そもそもあまりお上手でない方とか。

セッションに行くようになってから、プロではないですがなんとかの横好きな女性ジャズシンガーに出会うことが多いのでびっくりしました。

Gary Burtonは自伝で、歌手とドラマーは音楽の基礎知識がなくてもとりあえず出来るので、基礎のない人が意外と多いと書いてましたが、私の出会ったアマチュアジャズシンガーは大半がそんな感じでした。

Burtonに言わせるとアニタ・オデイも駄目な部類だそうです。

投稿: taki | 2019/01/25 21:57

そうか、あちらのショービズの世界で育っていればあのくらい歌っても不思議はないのかもですね>Virginia Mayo

しかしそうするとますます我が国のアマチュアライブの世界に頻出するジャズシンガーさんたちはなんと情けないことなんでしょうか。

まあ確かに歌の上手い/下手はあると思うのですが、基本的に英語の歌を聞かせるという歌い方が出来ない、出来てないのではないかと。

これは日常言語の違いから来ると考えたいところですが、以前一緒に演ったスペインから来た女性シンガーはジャズでしたしねえ、ロシアの女性もジャズフィーリング豊かだったしなあ。

とまあ思わずグチらせてもらいましたが、それにしてもバートンさん、アニタ・オデイも駄目ですか、それじゃあスタン・ケントン一派の女性歌手たちもさぞや辛口評価なんでしょうねえ。

投稿: たかけん | 2019/01/25 23:25

リメイクの実写「美女と野獣」でのハリポタのエマ・ワトソンの歌は見事でした。もともと歌手でなくてもトレーニング次第であそこまで歌えるのかと驚きでした。日本でもミュージカルにでるような役者さんは歌も達者ですね。

バートン氏はゲッツバンド時代にアニタと一緒にツアーしたこともあるそうですけど、エラやサラなどとの大きな違いはスキャットが音楽の基礎の上ではなく感覚だけでやってるのがまるわかりなんだそうです。

まぁ、僕にはわからないレベルの話ですが、アマチュアシンガーがスキャットやるとなんだかな~って思うことはありますね。

欧米の言葉は、お腹から出てくる感じとか、ブレスのストレスというかメリハリが強いですけど、なんちゃってさんは日本語の発声で歌うってことですかね。

逆にポップ系の歌手はビートに乗せるためか、発音が欧米的になってきてますね。あれも歌手によってはなんか不自然な感じはしますが。

投稿: taki | 2019/01/26 09:57

>スキャットが音楽の基礎の上ではなく感覚だけでやってるのがまるわかり

あ、それはボクにも分かります。というかメロディラインの崩しでスキャットしてるなと思うことはあります。決してコードの分散的なラインは出てこないというか、ですね。ただそれをボクはマイナス材料とは思ってなくて、彼女の個性と捉えています。ボクは白人系のジャズボーカルも好きなのでスタン・ケントン一派の女性歌手たちも好きなんです。

投稿: たかけん | 2019/01/26 23:12

僕もアニタは学生の頃に聴いて好きになった歌手で、何枚かLPを買いました。エラやサラより好きです。これはもう好みの問題ですね。

投稿: taki | 2019/01/27 22:10

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