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2020/10/06

黄河決壊事件に、BLMとVoyage7号

今回は、2013年に書きかけて下書き保存していた記事をこの5月に発掘して追記しかけたものの、またほったらかしていた話題です。

なんだか難しいことを書いてたんだな(^_^;)。

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PICKS-CLICKSさんが、「幸せの総量に悩む」と題して、中国事情について書いているので、少し前(2013年)に読んだリービ英雄の「大陸へ」に書かれていたことに触れてみよう。めずらしく音楽以外のネタです、読書関連ではありますが。

リービ英雄による彼の国(中国)関連の本を何冊か読んだが、彼の国では人民、特に農民は消費資源と考えられているのではないかと思える。

「大陸へ」には「花園口」について書かれている。

1938年に、黄河の北の岸まで日本軍が迫っていた。日本軍が中国の北半分を既に占領していた。中国の南半分への唯一の「防壁」として残っていたのは、黄河だった。数週間でも時間を稼ぎ、日本軍の進行を何とか食い止めて中国の南半分を救おうと、蒋介石が、ここ、花園口において、黄河の堤防を爆破した。
 黄河が南の陸へ一挙に氾濫した。
 数時間のうちに、八十四万人の農民が溺死した。
それが「花園口」の入場券に書かれている、「世界史的に有名な悲劇」なのである。

日本が中国を侵略したことや、日本軍による残虐行為について否定するつもりはない。特に残虐行為については、子供の頃に、酔った父から実際に自分の部隊であった事件を聞いた鮮烈な記憶が残っている。

しかしそれとは別な面もあったことがWikipediaには書かれていて、なんでも一面的な見方をすることは出来ないと再認識する。もちろんWikipediaにしても、所詮は二次、三次といった資料の引き写しであり、どこまでが本当かなどわかりはしないが、少なくとも現在の中国政府も黄河決壊事件は蒋介石軍が行ったことを認めているのは事実なのだろう。

彼の国では、「人の命は地球より重い」などという台詞は笑い話にもならないだろう。

「大陸へ」では、中国の状況と対比して、アメリカの奴隷制度に言及している。奴隷は商品であり、消耗品であり、人間とはみなさなかったという点では類似性があるということらしい。

オバマが大統領になった、ということよりも、むしろファーストレディーが黒人になったということの方に意義があるという見方もあるのだそうだ。ただ、そのようなアメリカのトラウマは克服されたようにみえても実は根深く残っているのが実情のようである。

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以上が、2013年に書いていた内容、なんと7年前だ。

花園口については、こちらに写真入りで訪問記が書かれていた。

黄河決壊事件 花園口現場へ(2018.7.1)

最後のアメリカの奴隷制度については、コロナ禍にBLM(Black Lives Matter)運動が起こって世界的な問題として再認識されているが、アメリカでの黒人奴隷が商品でしかなかった、というのはDickensも「アメリカ紀行(1842年)」の最後の方で鋭く糾弾している。

「アメリカ紀行」は、Voyage7号の原稿を書いているときに読んだ(全部は読んでない)のだが、そのDickensの英国からの移民がアメリカ国民の半数以上を締めていた(1790年資料-アメリカンミュージック再発見/中村とうよう)とか、リヴァプールが奴隷貿易から発展していった港町だったとかを見ると、Dickensの正義感も何をか言わんや、というところはある。

とはいえ、「アメリカ紀行」では当時の新聞に載った奴隷に関する記事などを引用しており、それは非人道的、といより動物以下、当時の白人が奴隷を物としてしか扱っていなかったことを遺憾なく伝えており、それはそれは凄惨なものだ。

というようなことで、Voyage7号の原稿ので出しでは:

「スウィングしなけりゃ意味がない」とはいうものの、かつてのスウィングジャズが白人のためのダンス音楽だったのなら、スウィングは黒人のビートなのだろうか?

という文で始まっていたのだが、最終原稿を出した後にBLM運動が起こったため、編集長より「白人のための」と「黒人のビート」いうところがBLM的にどうか?、という提議があり、僕も確かに引っかかると思ったので削除して次のように訂正した。

「スウィングしなけりゃ意味がない」とはいうものの、かつてのスウィングジャズがダンスのための音楽だったのなら、その起源は何なのだろうか?

また、以前にも書いていたArt BlakeyのModern Drummer誌でのインタビューの和訳も、Rhythm & Drums Magazine誌の日本語が変なので拙訳にしたが、これもまた訳し方次第で実に微妙な内容のため、編集長提案で英文そのままに変更した。

僕自身は最終稿を提出した後は、BLMと自分の原稿の関係などまったく頭に浮かばなかったので、そういうところまで気が配れるというのは、さすがに編集長だと思った次第。

国内のローカルなフリーペーパーでそこまで考える必要はないのでは?、という意見も他からあったが、筆者である僕が「言われてみればなるほど」と引っかかってしまったのだから訂正は致し方ない。

今回は少々硬い話題でありました。

次の動画は、BBCの2020.6.8の記事「イギリスで人種差別に抗議続く、奴隷商人の像を引きずり下ろし」から。

 

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